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4月に開園した「中野四季の森公園」と周辺の様子。巨大な中野セントラルパーク・サウス棟の北側に当たる、静かな空間だ。写真をクリックすると360度パノラマ写真を表示する。使い方は末尾の囲み記事を参照(撮影・制作:蔭山 一広)

 ビルの谷間を抜けると、そこは――。

 今年5月に東京・中野で竣工した再開発プロジェクト「中野セントラルパーク」は壮観だ。特にサウス棟は、高さ約100mもさることながら東西の幅が130mを超え、南側からは巨大な壁に見える。並行する中央線の電車内から望め、同線利用者の多くが目にするところ。直交するように建つイースト棟も高さが約50m、南北方向の幅は80m超と大規模だ。

 2棟の板状ビルの裏側はどうなっているのか。閉塞感が漂っているのではないか――。そんな予想に反し、ビルの谷間を抜けると、開放感のある公園が広がっていた。面積は約1.5ha、「中野四季の森公園」と名付けられた都市計画公園だ。今年4月に開園した。付近の様子を体感できる360度パノラマ写真を撮影・制作したので、参考にしてほしい(上記画像をクリック)。

再開発の位置図(資料:東京建物)
再開発の位置図(資料:東京建物)

 再開発エリアの面積は約16.8haあり、中野四季の森公園はそのほぼ中央に位置する。西側では3つの大学がそれぞれ施設を整備している。北側は、区立中野中学校が建て替え中、その東隣には区が新庁舎の建設を検討中だ。イースト棟の東側に建つ現・区庁舎と中野サンプラザも、一体的に整備する構想がある。公園を中心として、新しい中野の街がつくられる。

 玄関口である駅も、新しい街に対応する。現在の中野駅と北口駅前広場は、中野通りの東側にある。計画では、中野通りの西側を整備する。2020年頃までに、新たに橋上駅舎を建設して西口改札を設置。また2023年頃までに、新北口駅前広場を整備する。駅から中野セントラルパークまで、現在は歩いて5分かかるのが、3分程度に短縮するとみられる。

“サブカルの聖地”らしさを保てるか

 公園周辺の新しい中野の街は、既存の中野の街とは、雰囲気が異なる。

 中野の街を特徴づける建物の一つとして挙げられるのが、中野ブロードウェイだ。商業施設階に、漫画専門古書店の「まんだらけ」が入居するなど、サブカルチャーの聖地と化している。駅からはアーケードのある「中野サンモール商店街」経由でつながり、周辺には小規模で庶民的な飲食店が建ち並ぶ。

 こうした既存のにぎわいを、中野四季の森公園からうかがうことはできない。サブカルの聖地に現れた新街区は、半ばシェルターのように区切られている。

 この構図は秋葉原に似ている。2000年代初頭、秋葉原の駅周辺にダイビルやヨドバシカメラなど近代的な建物が次々に出現。アキバらしさが失われないかと危惧された。しかし、踏ん張った。人気アイドルグループ「AKB48」を輩出するなど、存在感は健在だ。

 中野も、中野らしさを保ち続けることができるのか。今後の展開に目が離せない。

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