過剰な明るさへの反省

東京から考える“ポジティブ節電” 第2回

2012/02/06

照明
コンビニエンスストア
東日本大震災
節電
調査
特集:東日本大震災

 ライティングプランナーズアソシエーツ(以下、LPA。代表:面出薫氏、本社:東京都渋谷区)と東京大学大学院工学系研究科建築学専攻・平手研究室は、東日本大震災から約3カ月後の2011年6月下旬に、「節電光環境 実測&アンケート調査」を実施した。震災後の節電による照明の減灯状況と、節電下の照明環境について人々がどう感じたかについて、都内24カ所で調査を行った。本連載「東京から考える“ポジティブ節電”」の第2回(今回)は、多くの場所で節電実施前の照明が「光の過剰摂取」だったことを調査結果から示し、今後の対策について考察する。

 コラム第1回でも触れたように、調査対象とした都内24カ所は東日本大震災後の節電によってすべて減灯中だったにもかかわらず、多くの場所で「問題ない」という回答が大勢を占めた。「問題がある」という回答でも、「明るすぎる」や「眩しい」といった理由で「問題がある」としたケースも含まれていた。こうした「暗さ」に起因しない理由で「問題ある」とした回答と、「問題ない」とした回答を、「減灯しているけれど問題ない」と解釈すると、以下の図のように「減灯しているけれど問題ない」という回答が70% を超えた場所は18カ所にも上った。90%を超えた場所は11カ所だ。

「減灯しているけれど問題ない」と70% を超えた場所は調査した24カ所中18 カ所にも上った。(資料提供:LPA+東京大学・平手研究室
「減灯しているけれど問題ない」と70% を超えた場所は調査した24カ所中18 カ所にも上った。(資料提供:LPA+東京大学・平手研究室

 これらの「減灯しているけれど問題ない」場所は、節電中の調査時でも十分な明るさがあることから、すべての照明器具が点灯していた節電前には「過剰な明るさだった」と考えられる。東京の照明はこれまで、施設間で競い合うかのように明るさがどんどん増していた。それが節電で一時的に中断され、これまでの照明環境の多くが、長年にわたる光の足し算で過剰な明るさになっていたことが浮き彫りになったといえるだろう。

あるコンビニの例:4割消灯していても、すべての回答者が「暗くない」

 典型例がコンビニエンスストアの照明だ。日本のコンビニエンスストアのほとんどは、明るく均一に照らされている。調査したあるコンビニエンスストアは、蛍光灯が天井に一定の間隔で並ぶ、典型的な「コンビニらしい照明計画」の空間である。調査時には、天井の蛍光灯は約半数を点灯し、食品棚の蛍光灯はすべて点灯していた。使用電力は通常より低い12W/m2(概算消灯率40%)に抑えられていたにも関わらず、床面照度は600ルクス、顔の高さの鉛直面照度は700ルクスと空間は均一に明るかった(数値は調査個所の照明器具などから推定)。

 アンケート結果を見てみると、回答者の96%が、この消灯されている状態でも「明るい」と感じている。残り4%が「どちらでもない」であり、「暗い」と感じた人はいなかった。また、この照明について60%以上が「問題ない」と答えている。「問題ある」とした回答者も理由として「明るすぎて落ち着かない」という選択肢を選ぶ人が多く、「暗い」ことに関連する理由を選ぶ人は少なかった。

減灯していても、回答者の63%は店舗の照明として「問題ない」としている。しかも、全員が「暗い」印象を持たなかった。この空間の明るさを「やや暗くしたほうがいい」と思う回答者も50%いる(資料提供:LPA+東京大学・平手研究室)
減灯していても、回答者の63%は店舗の照明として「問題ない」としている。しかも、全員が「暗い」印象を持たなかった。この空間の明るさを「やや暗くしたほうがいい」と思う回答者も50%いる(資料提供:LPA+東京大学・平手研究室)

調査したコンビニの照明の状況(照明器具などから推定)。全点灯時には20W/m2。減灯していた調査時には概算消灯率は40%、12W/m2だった(資料提供:LPA+東京大学・平手研究室)
調査したコンビニの照明の状況(照明器具などから推定)。全点灯時には20W/m2。減灯していた調査時には概算消灯率は40%、12W/m2だった(資料提供:LPA+東京大学・平手研究室)

時間帯や周囲の状況によって、照度のコントロールを


構成:介川亜紀=フリーライターケンプラッツ

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読者のコメント (3 件)  ※[ログイン]すると全文表示、投稿・投票ができます
隣りの店が明るいと、照度がとれている店でも暗いように見えてしまう…。
そういう事も、明るさや視覚的効果(点滅など)が過剰になっていった要因ではないかと思います。
地域で足並み揃えて『照度の適正化』を考えていくのが理想的と思います。
そして、住宅街など門灯が点灯してないと薄暗くなってしまいがちな所の街灯は減灯(所々消す事)はしない方が、防犯面では良いと思います。
(あいまま 2012/02/16 09:48)

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コンビニも商業ビルも与条件は1000lx以上でしたし、明るい方が売上が上がるとのこと。
1200lxが与条件とかも珍しくないです。

オフィスも1000lx以上を設置して、調光で750〜800lxに落としてますけど。実際は350lxあれば十分かと思いますが、そんなテナントビルは床が埋まらない・・・^^;
(2012/02/09 16:15)

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コンビニに関しては、地域によっては隣接したブロックあるいは同一ブロックに異なるチェーンの店舗が存在することも多いので、業界全体で足並みを揃えることが必要と思います。
例えば近所の店舗ではA社店舗は蛍光灯で通路間の明るさが700(lx)程度、B社店舗はLED照明で通路間500(lx)程度でした。(床上1m程度で計測)B社店舗だけ見ればそれ程暗くは感じないのですが、同一ブロックにA社店舗がある為に比較し易く、薄暗く見えてしまっています。
「LED照明を使用しています」を免罪符に明るさ競争をして元の過剰な明るさにならない様、「適度な明るさ」を評価基準に出来る様な助成制度等があると良いのかも知れませんね。
(yamamomo 2012/02/07 13:00)

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