2012/01/16
『新ザ・ソイル――建築家のための土質と基礎』を出版した、設計室ソイル取締役社長の真島正人氏は、多くの住宅メーカーや建築設計者から相談を受ける地盤の専門家だ。東日本大震災でクローズアップされた液状化対策に限らず、建て主の利益のために、建築設計者は土に関する知識を付けるべきだと訴える。(日経アーキテクチュア)
東日本大震災後、建築の建て主や設計者からの地盤に関する相談は増えました。
液状化対策はもちろんですが、意外に多いのが基礎杭に関する相談です。設計中の建物について、地盤補強で足りるのか、それとも杭基礎にするべきか。杭を打たなければならないとしたら、どの程度の長さが適切か――。回答は一つではありません。地盤の状況や建物の規模などによって変わります。
液状化対策は木造2階建ての被害がクローズアップされがちです。しかし、鉄筋コンクリート造で杭基礎であっても、液状化の問題を無視できません。最近、地盤の専門家や建築設計者が頭を悩ませているのが、確実な支持地盤が40〜50mくらいの深さにあり、その途中にN値10〜15の砂質土層がある地盤での建物の基礎です。
資産運用のために、RC造で3階建てのアパートを建設する地主が結構います。この規模の建物で杭を打つ場合、地盤の硬さを示すN値が10程度ある砂質土層があれば、これまでは十分な硬さがあると考えていました。しかし、今回の地震ではN値10〜15の砂質土層が液状化してしまった例があるんです。従来なら途中の砂質土層までしか杭を打たなくてもよい場合があった。この常識が覆った今、それより深いところにある支持地盤まで杭を打つべきか。
その回答は単純には出せません。要は安全性とコストのバランスです。50mの深さにまで杭を打つとなると、10mの深さにまで打つのに比べて格段にコストが上がります。1本で何百万円とかかってしまう。コストを優先して安全性を損ねるのは論外ですが、安全性を重視するあまり過剰設計になれば、建設費がかさんで建て主の不利益になる。別の地盤補強法を採用した方がいいケースもあるでしょう。
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