東日本大震災は社会に大きな衝撃を与えた。建設界も例外ではない。ケンプラッツのアクセスランキングを見ても、1位から19位までに震災関連の記事が並び、上位50本中36本が震災関連と、建設界がいかに注視していたかが分かる。

 2011年、ケンプラッツで最も読まれた記事は、「あの建築はどうなった(1)、仙台市中心部」だった。日経アーキテクチュアと地元の建築関係者が連携して、宮城県美術館やせんだいメディアテークなど著名建築の被災状況をルポした。震災発生から17日後の3月28日に掲載している。三陸沿岸部の津波被害が新聞やテレビで大きく報じられるなか、建築の実務者が知りたかったであろう都市部の被害を報じたことが、非常に読まれた要因の一つだ。6位仙台駅、7位東京・町田の大型店舗なども同様の理由で上位にランクインした。

「あの建築はどうなった(1)、仙台市中心部」に掲載したせんだいメディアテークの写真。天井が落ちているのが分かる(写真:佐久間 雄基)
「あの建築はどうなった(1)、仙台市中心部」に掲載したせんだいメディアテークの写真。天井が落ちているのが分かる(写真:佐久間 雄基)

 震災発生からそれほど時間がたっていない時期に、被害分析を試みた記事もよく読まれた。2位の「埋め立て時期で明暗?千葉・浦安の液状化」や3位の「東北新幹線の高架橋柱は『曲げせん断破壊』か」だ。このほか、8位の「RC建物は津波に強かった」、12位の「木造よりも壊れたRC造」などの分析記事も上位に入った。

 今回の震災で、最も大きな衝撃を与えたのは津波だ。その猛威を広域にわたって動画で報じた「空撮映像、激震と津波に襲われた被災地」も4位と、多くの読者を引き付けた。川を遡上し仙台平野を覆う津波、冠水した仙台空港、津波に襲われた直後の福島第一原発――。極めて広い範囲に、すさまじい威力の大津波が押し寄せた状況が動画で確認できる。