かざすだけで“見える化”

 居室の消費電力は、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)で制御。次世代モバイル通信を用いたエネルギー管理システムで、家電の省エネ制御や遠隔メンテナンスができるようにした。

 家電などの消費電力の“見える化”も工夫した。プロジェクトに参加するNTTドコモが、タブレット端末に組み込むAR(拡張現実)アプリを開発。端末のカメラでNSH-2012の室内を画面上に映し出すと、家電などの消費電力を実写に重ねて表示する仕組みを構築した。

家電の使用電力を“見える化”する仕組みも採用した。タブレット端末をかざすと、モニターに家電などの電力消費量が表示される(写真:日経アーキテクチュア)
家電の使用電力を“見える化”する仕組みも採用した。タブレット端末をかざすと、モニターに家電などの電力消費量が表示される(写真:日経アーキテクチュア)

モノコック構造で採用した不燃の紙パネル。デザインオフィスラインが開発した(写真:日経アーキテクチュア)
モノコック構造で採用した不燃の紙パネル。デザインオフィスラインが開発した(写真:日経アーキテクチュア)

「NSH-2012」の室内。居室は仕切りのないワンルーム。面積は約40m2(写真:日経アーキテクチュア)
「NSH-2012」の室内。居室は仕切りのないワンルーム。面積は約40m2(写真:日経アーキテクチュア)

 NSH-2012の販売予定はない。だが、盛り込まれたアイデアや技術は、近い将来の家づくりにも応用できるはずだ。日産自動車企画・先行技術開発本部テクノロジーマーケティング室の酒井雄揮志シニアエンジニアは語る。「自動車を蓄電池ととらえると、住宅のつくり方、街との関係が変わるはずだ」

 スマートハウス関連の要素技術は、実用化段階に入っている。EV、HEMSなど新技術が流れ込み、住宅は予想を上回る速度で変わりつつある。コストや法規制など課題は少なくないが、住宅設計やビジネスを革新する可能性を秘めている。