首都直下地震に備えるため、東京都は、震災時に避難や救急などに使われる幹線道路沿いの中高層建築物の所有者に、耐震診断を義務付ける方針を固めた。実現すれば、民間建築物への診断義務化は全国初となる。都は12月1日から募集する意見を踏まえ、早期の条例制定を目指す考えだ。

 現行の耐震改修促進法は耐震診断・改修とも所有者の努力義務となっている。都は、耐震化の促進には限界があるとして、新たな規制誘導策が必要だと判断した。石原慎太郎・東京都知事は11月30日に開会した都議会で、「国の法律の限界を東京から乗り越え、所有者に耐震化の決断を促す」と語った。

 診断義務化の対象は、「特定緊急輸送道路」に敷地が面する旧耐震基準の建築物で、道路幅員のおおむね2分の1を超える高さのもの。緊急輸送道路の中で重要なものを、都が「特定緊急輸送道路」に指定する。

東京都内の緊急輸送道路(資料:東京都)
東京都内の緊急輸送道路(資料:東京都)