建設・不動産の総合サイト「ケンプラッツ」は「日経不動産マーケット情報」の協力を得て、東京都区部の延べ床面積1万m2以上の主要オフィスビル約490棟を対象に、1m2当たりの年間温室効果ガス排出量を集計・比較し、実質的にガス排出量の少ないビルの1位に三井住友海上新川ビル(東京住友ツインビルディング西館)を選定した。
2位はトヨタ自動車東京本社、3位は三井住友海上駿河台ビルと、上位3位までには1980年代に完成した自社使用のビルが並んでいる。
1位 47.5kg 三井住友海上新川ビル(中央区新川、1988年)
2位 50.3kg トヨタ自動車東京本社(文京区後楽、1982年)
3位 53.5kg 三井住友海上駿河台ビル(千代田区神田駿河台、1984年)
4位 54.7kg 住友不動産芝公園タワー(港区芝公園、2001年)
5位 55.7kg 日本生命日比谷ビル(千代田区有楽町、1963年)
温室効果ガス排出量は、東京都の条例に基づき各事業者が届け出たもので、調査時点で公表値としては最新の「08年度の値」を用いた。ケンプラッツは、この値をオフィスビル運用段階の環境性能を知る指標の一つだと位置づけている。
三井住友海上新川ビルの1m2当たりの年間温室効果ガス排出量は47.5kg。ビル別の名目ランキングでは3位だが、「完成直後や改修・建て替えのために稼働率が低い」などの事情を有するビルを除外した結果、実質1位と認定した。
順位 | ビル名 | 温室効果ガス排出量 (kg/m2・年) |
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1 | 丸の内トラストタワー本館 | 29.6 |
1 | 丸の内トラストタワーN館 | 29.6 |
3 | 三井住友海上新川ビル (東京住友ツインビルディング西館) |
47.5 |
4 | 神谷町セントラルプレイス | 48.6 |
5 | 第25森ビル | 49.5 |
6 | トヨタ自動車東京本社 | 50.3 |
7 | 三井住友海上駿河台ビル | 53.5 |
8 | 第17森ビル | 54.6 |
9 | 住友不動産芝公園タワー | 54.7 |
10 | 日本生命日比谷ビル | 55.7 |
11 | 新日本石油ビル | 56.0 |
12 | 東京パナソニックビル1号館 | 56.7 |
13 | 新霞が関ビルディング | 57.0 |
14 | 三田43MTビル | 57.6 |
15 | 岩崎通信機 | 57.7 |
16 | 芝NBFタワー | 58.1 |
17 | 三田NNビル | 59.1 |
18 | 北の丸スクエア | 59.5 |
19 | 都道府県会館 | 60.1 |
20 | コープビル | 60.8 |
(注)丸の内トラストタワーの温室効果ガス排出量は、本館とN館を一つの管理対象として東京都に報告されているが、ここでは二つのビルに分けて同じ値を記した
東京都の資料によると、用途区分別の排出標準原単位は「事務所85kg」「情報通信320kg」となっている。言うまでもなくガス排出量は、ビルの稼働率や使われ方によって異なる。三井住友海上新川ビルの位置づけを知るために、いくつかのオフィスビルの排出量を挙げておこう。
日本電気本社ビル(港区芝、1990年):70.6
伊藤忠商事東京本社ビル(港区北青山、1980年):78.2
霞が関ビルディング(千代田区霞が関、1968年):90.4
六本木ヒルズ森タワー(港区六本木、2003年):141.7
丸の内ビルディング(千代田区丸の内、2002年):148.9
対象としたなかで1m2当たりの年間温室効果ガス排出量が最も多かったのは、豊島区上池袋にあるソフトバンクテレコム新東京センターだ。1196.8kgを排出していた。排出量の多いビルのほとんどが、データセンターとして使われている。