1m2当たりの年間温室効果ガス排出量は53.5kg。温室効果ガス排出量の少ないオフィスビルの実質3位は、三井住友海上駿河台ビルだ。84年築の省エネビルは、今も優等生だった。「ケンプラッツ」が「日経不動産マーケット情報」の協力を得て、東京都区部の延べ床面積1万m2以上の主要オフィスビル約490棟を対象に集計・比較した。

 三井住友海上駿河台ビルは1984年に完成した。当時の名称は「大正海上本社ビル」。花崗岩張りの超高層と、低層部の屋上庭園が特徴だ。日建設計が設計し、鹿島JV が施工。MSKビルサービスが建物管理を担当している。

1m2当たりの年間温室効果ガス排出量の少ないオフィスビルの実質3位になった三井住友海上駿河台ビル(写真:ケンプラッツ)
1m2当たりの年間温室効果ガス排出量の少ないオフィスビルの実質3位になった三井住友海上駿河台ビル(写真:ケンプラッツ)

 26年も前に完成したビルだが、省エネには設計段階から工夫を凝らしていた。例えば、窓には南面で奥行き1.3m、東西面で奥行き1.5mの庇を取り付け日射負荷を軽減している。庇で遮れない直射光は窓下からせり上がるブラインドでカットする。そして、窓の上部には、自然の風を取り入れる電動式の欄間窓を設けた。

 こうした設備が、今も役立っている。天候と外気温をみながら、朝6時ころに換気窓を開ける。夏場だと27~28度の室温が3~4度下がる。中間期であれば外の空気を入れることで冷房が要らないこともある。空調負荷が少なくなり、電力量の抑制につながっている。

深い庇が日射を遮っている(資料:日経アーキテクチュア、写真:ケンプラッツ)
深い庇が日射を遮っている(資料:日経アーキテクチュア、写真:ケンプラッツ)

窓の上部に設けた電動式の欄間窓は、自然換気に大活躍している。写真は完成当時(写真:三島 叡)
窓の上部に設けた電動式の欄間窓は、自然換気に大活躍している。写真は完成当時(写真:三島 叡)