LED照明には「虫が寄って来ない」という見方は正しいのか――。LEDを光源に使った照明の利点の一つに、「虫が寄って来ない」ことがあるという話は多々聞く。このような利点について疑問を投げかける講演が、2009年10月30日に開催された「Green Device 2009 Forum」のLED照明向け要素技術のセミナーであった。日本街路灯製造の若松 寿氏(同社豊明工場 研究開発 主席研究員)が「LED照明のあり方、過去の設置事例から検討」という講演の中で、LEDランプの問題点の一つとして明らかにした。

 同氏によれば、虫は波長340~350nmの紫外線に引き寄せられるとされる。LED街路灯に搭載する白色LEDは、発光スペクトルに上記の波長の光が計測器では検出されないにもかかわらず、同社がこれまで設置してきたLED街路灯の状況から「色温度が高いほど、LEDからの光が明るいほど、虫がLED に集まって来る」(若松氏)という。そのため、LED街路灯の光源部分に虫が入ってこないように、光源部分の周囲をすき間なく透明カバーで覆わないと、虫が光源部分に侵入することで電気的な不具合が生じてしまう経験を語った。設置半年で不具合が生じる例もあったという。講演では、LED光源付近にクモの巣が張った写真を見せていた。なお、虫が引き寄せられる原因については、まだ調査の段階とする。

 日本街路灯製造は講演において、LEDを使った街路灯を10年以上手掛けてきた経験からいえるLEDランプの五つの問題点の一つとして、虫の問題を挙げた。その他の問題点として、放熱材料が重たいこと、LED電球の電源との接続方法、発光効率と光束に対する理解、微弱電流で点灯するため蛍スイッチが使えないこと、を挙げていた。