2009年10月28~30日に開催された「Green Device 2009」の主催者企画の展示ゾーンでは、太陽電池やLiイオン2次電池、LED照明、直流給電などを組み合わせた技術展示を東北大学大学院 環境科学研究科が中心となって展示した(図1)。

図1●Liイオン2次電池から電力を供給したLED照明
図1●Liイオン2次電池から電力を供給したLED照明

 現在、東北大学では、環境省の地球温暖化対策技術開発事業「微弱エネルギー蓄電型エコハウスに関する省エネ技術開発」プロジェクトの一環として、自然エネルギーをはじめ、微弱な風や水流などから発電してLiイオン2次電池に貯めて活用する「エコハウス」を大学構内に建設中で、2009年度末の完成を目指している。

 今回の展示では、その要素技術として6kWhのLiイオン2次電池をNECトーキン、LED照明をパナソニック電工の協力により展示した(図2、3)。展示ブースでは、6kWhのLiイオン2次電池からLED照明に電力を供給していた。今回はLED照明には交流で供給しているが、エコハウスでは直流で供給するという。また、6kWhのLiイオン2次電池は展示会終了後、東北大学へ搬送して、さまざまな実証試験に用いるという。

図2●パナソニック電工の展示。LED照明と蛍光灯、白熱電球の消費電力の違いを披露していた
図2●パナソニック電工の展示。LED照明と蛍光灯、白熱電球の消費電力の違いを披露していた

図3●6kWhのLiイオン2次電池ユニット。左側に電池ユニットを、右側は電源回路を搭載
図3●6kWhのLiイオン2次電池ユニット。左側に電池ユニットを、右側は電源回路を搭載

 このほか、コクヨがLiイオン2次電池のモジュールを用いた「オフィスにおける地産池消の電力供給」についてのコンセプトを披露した(図4)。オフィスの太陽電池で発電した電力を小型のLiイオン2次電池ユニットに蓄えておき、各利用者がオフィスの机にLiイオン2次電池ユニットを持って行き、ノート・パソコンや卓上の照明機器の電力をまかなうことで、オフィスのCO2排出を大幅に削減するというコンセプトである。

 太陽電池から機器に至るまで電力はすべて直流で供給する。今回の展示では、1人用として約100WhのLiイオン2次電池ユニットを、2人用として約 200WhのLiイオン2次電池ユニットを用いた(図5)。「ノート・パソコンを1日の勤務時間中、十分駆動できる容量」(コクヨ)としている。コクヨでは、近々に自社の東京ショールーム内にある実験オフィス「エコライブオフィス品川」で、東北大学とNECトーキンと共同実験を開始するとしている。

図4●コクヨが展示したパネル
図4●コクヨが展示したパネル

図5●コクヨがデモで利用した電池ユニット
図5●コクヨがデモで利用した電池ユニット