セミナーの様子
セミナーの様子

 注目度が高まるLED照明は今後どのように展開されていくのか。パシフィコ横浜で開催中の展示会「Green Device 2009」の併設セミナー「Green Device 2009 Forum」で2009年10月28日、パナソニック電工や東芝ライテックといった照明器具メーカー、業界団体のLED照明推進協議会(JLEDS)がそれぞれ見通しを語った。

 まず最初に登壇したJLEDS 企画運営委員長の下出澄夫氏は、LED照明に集まる期待と現状のLED照明の実力にギャップがあり、LED照明の普及を促進していくにはこのギャップを認識して課題を解決していかねばならないことを強調した。下出氏によれば、LED関連の電気製品に対する法規・規格はまだ十分に整っておらず、安全品質が確保されていない製品が市場に流出する可能性があることに警鐘を鳴らした。

 例えば、「家庭用つり下げ型蛍光灯器具」や「白熱電灯器具および放電灯器具」といった既存光源の代替に向けたLED照明器具は特に注意が必要とする。蛍光ランプの代替用途として蛍光管型LEDランプは現在、JIS規格のような標準仕様を定めたものがなく、明るさや消費電力、配光などの仕様や性能がメーカー間で異なるためだ。講演では、性能評価で蛍光ランプに比べて現行の蛍光灯型LEDランプは性能が低いので代替できるレベルではないという米国エネルギー省の報告、さらには投入電力の低さをうたいながら明るさが蛍光ランプより劣る製品が存在することや、ランプの質量が500g以上もあるため器具からの脱落が懸念される製品があるといった日本電球工業会の報告を紹介した。

 下出氏は、日本では今後2~3年のスパンで法規が整備されるとの見通しを示した。なお、法規制前であってもJLEDSでは加盟するメーカーに対して社会通念や関係法規を遵守するように働きかけているという。

 加えて下出氏は、「蛍光ランプ省電力」をうたうLED照明がある場合、消費者が採用にあたって注意すべき点を挙げた。それは、対象とする蛍光ランプが最新のHf型なのか、旧来の銅鉄バラスト型なのかを十分に確かめることである。照明器具全体での効率はHf型が100lm/W前後に対して銅鉄バラスト型が60lm/Wと大きく開きがあり、LED照明はその中間の80lm/Wというのが現状のためだ。