対応する照明器具か慎重に判断する
一連の実験の結果、隊員たちは「LED電球を住宅に取り入れてもデメリットは少なく、既存の光源との違いを大きく感じることはそれほどなさそうだ」という意見でおおむね一致した。
3つの光源の違いは体感ではわずかだったが、照度と輝度の測定では明確な違いとして示された。LED電球の光は方向性があり、白熱電球と蛍光ランプは周囲に広がる。こうした点から隊員たちは「LED電球をベース照明に用いる場合は、照明計画を変える必要があるだろう」「既存の照明器具の電球をLED電球に付け替えるときは、部分的に試したほうがよさそう」と指摘した。
東芝ライテック総務部の鈴木美佳さんは、「LED電球を裸電球の状態や上や横にも光が漏れるタイプの器具で使う場合は、注意が必要だ。一方で、ダウンライトで使う場合は白熱電球や蛍光ランプと同様に扱える」と答える。ダウンライトでは、白熱電球や蛍光ランプの光も横に広がりにくいので、LED電球とさして変わらないからだ(下図参照)。
東芝ライテック住空間事業部の澤井宏さんは、「LED電球は胴体の金属部分から発熱するため、器具内に熱が溜まると、わずかだが性能が下がったり、耐用年数が短くなったりする恐れがある。そのため当社はLED電球に対応した器具には表示を付けている」と話す。
環境意識の高まりから、LEDは急速に普及していくだろう。LEDの特徴を知り、照明設計に生かすノウハウが今後重要になる。
【実験のまとめ】
●LED電球の光は方向性があり、広がる範囲が狭いことが、測定で実証された
●照明器具を選ぶ際は、LED電球の特性を考慮する必要がある
●LED電球は胴体の部分が発熱するが、手で触って熱いと感じる温度ではない