「事業者、消費者の方々からのヒアリングを先週から始めている。設計、施工に携わる方々、審査にかかわる方々からの意見を伺いながら、ゼロベースで問題点を洗い出す」――。馬淵澄夫・国土交通副大臣は10月19日の会見で、建築基準法の再改正に向けた省内の取り組み状況を説明した。

馬淵澄夫国土交通副大臣は10月19日の定例会見で、建築基準法見直し作業の進ちょくを説明した(写真:ケンプラッツ)
馬淵澄夫国土交通副大臣は10月19日の定例会見で、建築基準法見直し作業の進ちょくを説明した(写真:ケンプラッツ)

 馬淵副大臣は、法制度見直しのスタンスについて、「前回の建築基準法の改正にあたっては、多くの方々から現場からの不満をいただいている。こうした意見を受け止め、最大公約数的に今求められている建築基準法のあり方を提示した上で、法改正に向けて取り組む」、「業界の状況、あるいは混乱をいかに最小限に抑えられるか、激変緩和措置も含めて、皆さん方の意見を聴取した上での立法となる」などと語った。

 民主党は野党時代の2006年、構造計算書偽造事件を受けた建築基準法の改正案を、政府案の対案としてまとめている。馬淵副大臣は、「(再改正は、当時の民主党案が)考え方の前提にはあるが、前回出した法案そのままのイメージではない」と述べた。

建基法・士法に関する意見を募集

 国交省建築指導課によると、ヒアリングは建築設計や施工、不動産、消費者など約20の関係団体を対象に実施する。(1)構造計算書偽造事件を受けた一連の法制度改正の問題点(2)今後の建築基準法、建築士法のあるべき姿――というテーマで、10月中旬から11月にかけて聞き取りする予定だ。

 さらに、地方の設計実務者、特定行政庁や指定確認検査機関などの審査担当者もヒアリングする方針。10月21日からは新・建築士制度普及協会のウェブサイトを通じて、国民から広く意見を受け付ける。一連の作業を通じて、建築基準法や建築士法など法制度の問題点を洗い出し、法案作成に反映する。

 前原誠司国交相は10月2日、ケンプラッツ、日経ホームビルダー、日経アーキテクチュアのインタビューに応じ、建築基準法の再改正について(1)建築確認日数の短縮(2)提出資料の簡素化(3)違反があった場合の厳罰化――の3つの方向性での検討を、馬淵副大臣に指示したと明らかにしていた。改正時期について、前原国交相は「来年の通常国会に提出したい」との意向を表明していたが、会見で馬淵副大臣は「検討中」と語るにとどめた。