パナホームとパナソニック電工は、東京都内の住宅展示場に全ての照明をLEDにしたモデルハウスをオープンした。2世帯住宅のモデルハウスで、親世帯側の全照明74台をパナソニック電工製のLED照明とした。一方、子世帯側は、蛍光灯45台とLED照明25台を組み合わせた。LED照明の価格が高いことや、総合効率(消費電力当たりの全光束)では高効率の蛍光灯の方が優れていることから「現時点で最適のエコ照明」(パナホーム)。テーブルなどを集中的に照らしたり調光したりするのにLED照明を採用し、部屋全体の照度は電球型蛍光灯で確保するといった構成である。「顧客からも全てLEDにしたいとの要望が出始めている」(パナソニック電工)といい、モデルハウスを通じて家庭でのLED照明普及に弾みをつける考えだ。
単純にLED照明に置き換えるのではなく、親世帯のリビング・ダイニングと子世帯のリビングダイニング・キッチンは、パナソニック電工が「シンフォニーライティング」と呼ぶコンセプトに基づいて設計した。シーリングライトのような大きな照明一つで部屋を照らすのではなく、ダウンライトや壁面に取り付けるブラケット・ライト、間接照明など複数の照明を組み合わせて使うという「適所適光」の考えと、食事や団らん、テレビ鑑賞など生活シーンに応じて各照明の照度を制御しようという「適時適照」の考え方に基づくもの。例えば、食事シーンではダイニングテーブル付近を明るくしてリビングを暗くする、シアター・シーンではブラケットライトで壁面を照らし、全体の照度は落とす――といった照度制御をする。これによって、電気料金は従来の白熱灯や直管蛍光灯で常時点灯する場合の14~15%程度で済むようになるという。このほか、収納部にはものがみえやすい昼白色の照明を採用したり、キッチンなどには食材がきれいに見える演色性の高いもの(平均演色評価数90)を採用したりして、照明の使い分けも確認できるようになっている。
普及の課題は導入コスト。白熱灯や直管型蛍光灯を使う場合に比べて、親世帯のようなオールLEDの場合で3倍、子世帯のような蛍光灯との場合で2 倍程度のコストが掛かるという。モデルハウスは、同年11月29日までの土日・祝日は、照明の機能を実感しやすいよう20時まで延長して営業する。