外窓に約2000m2の太陽光発電パネル

 以上のような昼光の利用やセンサーを使った照明の制御をしても、昼間の照明には年間8万4000kWhのエネルギーが必要となる。新社屋では、このエネルギーを太陽光発電によって賄う計画だ。外窓に約2000m2の太陽光発電パネルを設ける。

 「2000m2は新社屋の建築面積とほぼ同じなので、まずは太陽光発電パネルを新社屋の屋上に設けることを考えた。最も効率良く発電できるからだ。しかし、屋上には様々な設備を置かなければならない。そこで、太陽光発電パネルを外窓に取り付けることにした」(同社)

 同社はシャープと共同で、ガラスに挟み込んだ2種類の太陽光発電パネルを開発した。発電効率は高いが光が透過しない「多結晶型」と、光が透過して外が見える「薄膜型」の太陽光発電パネルだ。ともにガラスとしてJIS規格同等の認定を受けた。

ショールームの窓に取り付けた発電効率の高い多結晶型の太陽光発電パネル(右)と光が透過して外が見える薄膜型の太陽光発電パネル(写真:日経アーキテクチュア)
ショールームの窓に取り付けた発電効率の高い多結晶型の太陽光発電パネル(右)と光が透過して外が見える薄膜型の太陽光発電パネル(写真:日経アーキテクチュア)

薄膜型パネルのディテール(写真:日経アーキテクチュア)
薄膜型パネルのディテール(写真:日経アーキテクチュア)

新社屋の外窓に取り付ける太陽光発電パネルの位置。黄枠の中の黒い部分に薄膜型パネルを、赤枠の中の黒い部分に多結晶型パネルをそれぞれ設置する(資料:清水建設)
新社屋の外窓に取り付ける太陽光発電パネルの位置。黄枠の中の黒い部分に薄膜型パネルを、赤枠の中の黒い部分に多結晶型パネルをそれぞれ設置する(資料:清水建設)

 多結晶型は新社屋のトイレなどの目隠しが必要な共用部の窓に、薄膜型は執務室の窓にそれぞれ取り付ける。設置面積はそれぞれ約1000m2になる予定だ。「超高層ビルに薄膜型の太陽光発電パネルをこれだけの規模で導入するのは恐らく初めてだ」(同社)

 次回は、太陽光発電パネルなどの環境装置と構造体とが一体化した新社屋の「プレキャストハイブリッド外装システム」について取り上げる。

建築概要

名称=京橋2丁目16地区A棟
所在地=東京都中央区京橋2丁目16-1ほか
用途=事務所
発注者=清水建設
設計・監理者=清水建設
施工者=清水建設
オープン予定=2011年
敷地面積=2729m2
建築面積=2180m2
延べ面積=5万1000m2
構造=RC造・一部SRC造
階数=地下3階・地上22階
建物高さ=110m
基準階階高=4.2m
基準階天井高=2.8m