パナソニック電工が2009年4月21日に発売した住宅用照明シリーズ「MODIFY(モディファイ)」は、“一般家庭の定番となる照明”を目指して開発された。開発にはプロダクトデザイナーの深澤直人氏が参画した。
09年6月17日、同社が東京・秋葉原で開催したトークセッションでは、開発中の秘話が明かされた。セッションには、深澤氏をはじめ、同社デザイン開発センター照明デザイングループの吉川豪氏、インテリアライティングセンターのくりやまさちこ氏が参加した。
誰もがイメージする形を追求
MODIFYは球・半球・円すい台の3つの形で展開している。この形は、パナソニック電工が持つ照明のラインアップのなかから、売れ筋を調査して割り出した。「誰もがイメージする照明の形=アーキタイプ」を探すためだ。深澤氏は「スタンダードなフォルムを追求するには、細かなディテールにまでこだわって“MODIFY=修正”する必要がある」と話す。例えば、真球状の「SPHERE(スフィア)」では、光をともしているときもそうでないときも“丸く”見えることにこだわった。通常の球形の照明器具は、コードのつなぎ目部分が金属でできていることが多く、光をともしても全体が丸く光ることがない。そこで、コードのつなぎ目部分をシェードと同様のアクリル樹脂にすることで、灯りを付けたときも真球状に見えるようにした。
シェード内部の部材には、新たに開発した透明なパーツを使用している。質感は、ガラスに近づけるためアクリル樹脂の上から通常の工程に加えてつや消し塗装を施した。くりやま氏は「ぶつかってもガラスのように割れることがないので、設置場所の自由度が高まった。複数の灯りを連続して吊るすこともできる」と話す。
半球状の「DOME(ドーム)」と円すい台の「BUCKET(バケット)」は、光源部分を乳白色のパネルで覆い、光源が直接見えないようにした。まぶしさを軽減するための工夫だ。さらに、シェードとパネルを45°の角度にカットしたうえで接合させ、影が出ないように工夫している。「光源をパネルで覆ったことで高い位置からも吊るせるようになった」とくりやま氏は説明する。