京極夏彦氏の作品「魍魎の匣」(1995年/講談社、2005年/講談社文庫)は、戦後の東京を舞台に少女の連続殺人事件を描く。その大きな手掛かりとなるのが、人里離れた丘の上にそそり立つ箱形の建物だ。開口部は正面の扉とその上部の細いガラスのスリットのみ。ダニエル・リベスキンドあたりの建物をほうふつとさせる、閉鎖的なコンクリートの黒い立方体である。以下、ネタバレ注意。
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