内田洋行新川オフィス(東京都中央区)の4階の執務室は、08年9月に既存の蛍光灯から、内田洋行が自社で開発したLED照明に切り替えた。

 LED照明の設置工事は、土日の2日間で済ませた。工期を短縮できたのは、「スマートインフィル」と呼ぶLANや電源の配線、照明などをすべてフレームに納めるシステムユニットを採用したからだ。組織変更に伴う、LANや照明の変更などに柔軟に対応できるメリットもある。約350m2の執務スペース部分の天井に、モジュールを450枚並べたシーリングライトを設置。同等の明るさの蛍光灯を使った時に比べて、年間消費電力を65%削減できると試算している。

 LEDモジュールは、0.1Wの低出力LED素子を80個設置したものだ。約0.1WのLEDは、1W~3W程度の高出力LEDに比べて排熱量が少なく、天井裏の排熱処理が容易になる。排熱のためにファンを設ける必要がなく、照明器具を薄くできる。また、このモジュールはいくつでもシームレスにつなげられるので、オフィスのレイアウトに合わせて、自由な照明設計ができる。

 「LED素子を発光させる電子制御技術や調光によって、必要ないときは暗くしたり、消したりすれば消費電力を下げて、省エネにつなげられる」。LEDシステムの開発にもかかわった、内田洋行の関連会社であるシービーエヌ取締役の八田政恭氏は、こう説明する。
 執務スペース天井に設置したLED照明は、照度を31段階に調光できる。人感センサーや光センサーと連動して照度を自動調整。リモコンや携帯電話を使っても調光を制御できる。常時点灯時は最大光量の半分程度に落ちる。それでも机上面照度は800ルクスと作業に十分な明るさがある。

アルミ製のシステムユニット「スマートインフィル」で構築したミーティングスペース。明るい面発光するLEDの光天井は、ワーカーの気分を活気付ける(写真:澤田 聖司)
アルミ製のシステムユニット「スマートインフィル」で構築したミーティングスペース。明るい面発光するLEDの光天井は、ワーカーの気分を活気付ける(写真:澤田 聖司)

新川オフィスのLED照明と蛍光灯の消費電力比較表 (資料:内田洋行)