白夜に浮かぶ、白い建物――。英国の建築雑誌である「The Architects’ Journal(AJ)」が、2014年のBuilding of the Year(最優秀建築作品)に選んだのは、ノルウェーのボードー市にある「ストーメン文化施設」。劇場、コンサートホール、バー、図書室などが一体となった複合施設だ。

 設計は、英国のDRDH Architects。彼らは2008年にボードー市のマスタープランを策定するデザインコンペに優勝してから、ボードー市のありとあらゆるものを調べた。建築の色、材料、木パネルのサイズ、屋根の傾斜度、標識、若者に人気のスポット、最高のレストラン、すし詰めのパブ、くつろぎの瞬間など、“場所”を形成する全てのもの。「DRDH Architectsのトリック」。AJは誌面上で、このトリックを“建築”と呼んだ。

ストーメンとは「嵐」の意味。この一体ではよく風が吹く。DRDH Architectsのダニエル・ロスボトムによれば、「画家ターナーが描いた、“ベネチア、税関舎とサン・ジョルジョ・マッジョーレ”からインスピレーションを得て、その北極圏版をイメージした」とのこと(写真:DRDH Architects/ David Grandorge)
ストーメンとは「嵐」の意味。この一体ではよく風が吹く。DRDH Architectsのダニエル・ロスボトムによれば、「画家ターナーが描いた、“ベネチア、税関舎とサン・ジョルジョ・マッジョーレ”からインスピレーションを得て、その北極圏版をイメージした」とのこと(写真:DRDH Architects/ David Grandorge)

 ストーメンを構成するのは2つの建物だ。

【ライブラリー】
海に面しフィヨルドを望む図書室、パフォーマンス空間など

【カルチャー・ハウス】
944席の劇場兼コンサートホール、250席の多目的ホールと地下に400席のジャズやロックのためのクラブ