昨年の建築基準法改正では、防耐火規制の緩和により、3階建ての学校等を木造でも建てやすくするなど、木造の可能性が大幅に広がった。わが国の豊かな森林資源を活用して、循環型社会を実現する上で、建設業への期待を林野庁の小坂善太郎氏に聞いた。

小坂 善太郎氏(林野庁木材産業課)
小坂 善太郎氏(林野庁木材産業課)

 わが国は、国土の7割を森林が占めている。これは、フィンランド、スウェーデンに次ぎ第3位だ。第二次大戦後に、荒廃していた森林に約1000万haの人工林が造成された。その当時「孫のために」と植林された苗木が、50年を経て、本格的な利用期に差しかかっている。

国産材の利用が循環型社会をつくりだす

 成長を続ける森林は、天然資源が乏しいわが国にとっては貴重な資源である。毎年の成長量を超えずに利用すれば、持続可能な資源でもある。また、毎年、適正に伐採・利用することで、森林も適正に維持することができる。わが国では、成長量から見ると毎年1億m3の森林資源が増えている。

 一方、わが国で使われる木材の量は、近年7000~8000万m3だから、これは、わが国の森林資源で十分にまかなえる量だ。

 この豊かな森林資源も、かつては伐採されすぎ、山が荒廃する状況が続いてきた。飛鳥時代の676年には天武天皇が「伐採禁止の勅」を発令したほどである。こうした森林の荒廃は、明治そして戦後まで続いてきた。

 ただし、現在はこれとはまったく逆の状況になってしまっている。間伐などの手入れが行われないことで森林環境が損ねられている。これは、林業採算性の悪化から、木材が利用されず、山の手入れがされないことで、森林の機能低下を起こしている。

 こうした先人がつくってくれた資源をうまく使って、山村振興にもつなげていくことが、私たちの課題だといえる。