木造の可能性が広がってきている。だが、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比べて木造は分かりにくいと敬遠しているのが建築実務者の本心ではないか。木の新しい可能性について考えるNPO法人チーム・ティンバライズの理事長も務める腰原幹雄氏に、木材利用促進策を聞いた。

腰原 幹雄氏(東京大学生産技術研究所教授)
腰原 幹雄氏(東京大学生産技術研究所教授)

 日本には木の文化が1400年以上あると言われるが、ずっと同じ建築をつくっているわけではない。同じ生活スタイルを保っているわけではないし、森林資源や、木の建築を支える大工など社会システムも変わってきている。

 つまり、木材利用促進を図るうえでは、今の生活スタイル、今の社会システムに対応しながら、木を建築に使うことを考えなければならない。

 地方に限っていえば、木材の地産地消の推進、公共建築物等木材利用促進法の成立などで公共建築を中心に木造建築をつくる取り組みは、わりと行われている。

 ただ、都市部では、防耐火性能が求められるなどの理由から、規模の大きな建築に木造が選択されることは少ない。建築は都市において多く建てられるわけだから、今後は都市において木をたくさん使っていけるかがテーマになってくる。