建築の設計・施工に携わる専門家が、低層の非住宅分野での木造/木質建築にどのような関心を持ち、普及への課題をどう認識しているのか。採用経験や工法選定の主導権を握るのが誰か、などを実務者を対象にしたアンケートの結果からひも解いてみる。

建築物の工法の選定者

 「施主主導」は合計で37.3%、「設計・施工側主導」が合計で約62.7%を占めた。工法については建築の専門家である設計・施工側の提案に沿って決まることが主流であることが分かる。

建築物の工法の選定者 「施主主導」は合計で37.3%、「設計・施工側主導」が合計で約62.7%を占めた。工法については建築の専門家である設計・施工側の提案に沿って決まることが主流であることが分かる。

木造/木質建築の採用・提案理由(複数回答)

 実際に「木造/木質建築」を建てた経験がある実務者(経験あり層)においては、「施主からの要望」が最も多い。次いで「材料費の抑制」「快適性の演出」「健康への配慮の演出」が続く。一方、関心がある層(関心あり層)では「建物の高級感演出」「快適性の演出」という回答が多い。

木造/木質建築の採用・提案理由(複数回答) 実際に「木造/木質建築」を建てた経験がある実務者(経験あり層)においては、「施主からの要望」が最も多い。次いで「材料費の抑制」「快適性の演出」「健康への配慮の演出」が続く。一方、関心がある層(関心あり層)では「建物の高級感演出」「快適性の演出」という回答が多い。

木造/木質建築の普及への課題(複数回答)

 「耐火性能が低い」が61.9%と突出しているほか、「耐用年数が短い」「耐震性能が低い」など建物性能に関連する項目が回答されている。また「耐震・耐火の法規制」や「設計自由度が低い」「施工人材の不足」など設計施工の実務関連の課題も上位に入っている。

木造/木質建築の普及への課題(複数回答) 「耐火性能が低い」が61.9%と突出しているほか、「耐用年数が短い」「耐震性能が低い」など建物性能に関連する項目が回答されている。また「耐震・耐火の法規制」や「設計自由度が低い」「施工人材の不足」など設計施工の実務関連の課題も上位に入っている。

木造建築のコストイメージ(非木造建築を100とした場合)

 「木造の方が安い」の回答者が半数を超えた。一方「木造の方が高い」と回答したのは35.8%だった。木造・木質建築は、非木造建築より安いか同等と捉えられている専門家が多いことが分かる。

木造建築のコストイメージ(非木造建築を100とした場合) 「木造の方が安い」の回答者が半数を超えた。一方「木造の方が高い」と回答したのは35.8%だった。木造・木質建築は、非木造建築より安いか同等と捉えられている専門家が多いことが分かる。

木造/木質建築が有望だと思う用途(複数回答)

 「店舗」や「学校・教育施設(公立)」が50%を超えた。「福祉・介護施設(民間)」「同(公立)」「図書館」「事務所」「病院・診療所(民間)」が続く。

木造/木質建築が有望だと思う用途(複数回答) 「店舗」や「学校・教育施設(公立)」が50%を超えた。「福祉・介護施設(民間)」「同(公立)」「図書館」「事務所」「病院・診療所(民間)」が続く。

【調査概要】

  • 調査主体:日経BPコンサルティング 榊真也、鈴木はるか
  • 調査方法:インターネット調査(ケンプラッツ読者に調査)
  • 有効回収数:451件
    内訳
    • 勤務先業種
      • 設計事務所:153件(33.9%)
      • 住宅メーカー/工務店:151件(33.5%)
      • ゼネコン・サブコン:145件(32.2%)
      • デベロッパー:2件(0.4%)
    • 木造/木質建築への経験・関心
      • 経験あり:229件(50.8%)
      • 関心あり:178件(39.5%)
      • 経験・関心なし:44件(9.8%)
  • 調査時期:2015年3月上旬