木材活用
日本の豊かな森林資源を活用していかに循環型社会を実現するか。素材と構造の新たな可能性を切り開く。住宅以外に広がる低層木造の可能性、木材活用のメリットと実現を阻む障壁、鉄やコンクリートにはない木の魅力とは何か。
目次
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一般流通材で中大規模木造をつくろう
2010年に「公共建築物等木材利用促進法(公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律)」が施行された。しかし、いまだに公共建築物の木造化率は10%程度という状況だ。この背景には、設計者にとって中大規模木造を実現するにはハードルが高いという現実がある。
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投資用のテナントビルを耐火木造に建て替え
東京・自由が丘で、J-REIT(不動産投資信託)が運用するテナントビルを地下2階・地上3階建ての耐火木造建築に建て替える工事が進んでいる。木造のメリット、デメリットについて、発注者に聞いた。
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気仙スギで大屋根を架けた中学校
日経BPインフラ総合研究所が主催する「中高層建築への木材利用促進の可能性について検討する研究会」は岩手県内で実地研究を行った。北海道に次ぐ面積を持つ岩手県は、国内でも有数の林業県でもある。2016年9月27日、同年10月末の完成に向けて建設工事が進む高田東中学校を訪れた。地場産の気仙スギで大屋根を架…
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町産の中断面木材を使った純木造役場
日経BPインフラ総合研究所が主催する「中高層建築への木材利用促進の可能性について検討する研究会」は岩手県内で実地研究を行った。中大規模木造建築のコストや資金調達の在り方、材料、工法などについて関係者の話を聞いた。2016年9月27日に訪れた住田町役場は、町産の中断面木材を使った純木造建築だ。
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坪40万円の木造公民連携施設
日経BPインフラ総合研究所が主催する「中高層建築への木材利用促進の可能性について検討する研究会」は岩手県内で実地研究を行った。中大規模木造建築のコストや資金調達の在り方、材料、工法などについて関係者の話を聞いた。まずは9月26日に見学した「オガールプラザ」を報告する。建築コストが坪当たり40万円台の…
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耐火木造の集合住宅を見に行く
日経BPインフラ総合研究所主催の「中高層建築への木材利用促進の可能性について検討する研究会」は、「下馬の集合住宅」で実地研究を行った。2013年9月に完成した1階が鉄筋コンクリート(RC)造、2〜5階が木造の耐火木造建築だ。
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高まる木材活用の機運、阻害要因は何?
日経アーキテクチュア・ウェブ会員507人にアンケート調査
木材活用の機運が高まるなか、建築物の設計・施工、発注に携わる実務者は、木造・木質建築にどのような経験や関心を持ち、そのメリットや普及への課題をどのように考えているのか。また、実際に木造・木質建築を企画する際にどのようなことが阻害要因となると考えているか。日経アーキテクチュア・ウェブ会員へのアンケート…
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共感と循環で差別化を図る木づかいのストーリー戦略
マンション・住宅分野でさらなる木材活用を図るために
10月21日に東京・目黒雅叙園で開催された「木材活用フォーラム2015」。「中高層建築への木材利用促進の可能性について検討する研究会」の活動報告を兼ねたセッション会場には多くの聴講者が訪れた。中高層オフィスでの木材活用がどのような付加価値を生み出すかをテーマにした午後の「セッション2」に続き、「セッ…
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みなとモデル制度に対応する木づかいの付加価値
中高層オフィスでの木材活用の可能性を探る
東京・目黒区の目黒雅叙園で10月21日に開催された「木材活用フォーラム2015」。「中高層建築への木材利用促進の可能性について検討する研究会」の活動報告を兼ねたセッション会場には多くの聴講者が訪れた。高齢者施設やホテルの木造・木質化の可能性を探った午前中の「セッション1」に続き、午後の「セッション2…
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地方創生を実現する木造・木質化の価値
高齢者施設、ホテルなどの先進事例実現の背景を探る
10月21日、東京・目黒区の目黒雅叙園で「木材活用フォーラム2015」が開催された。会場では、「中高層建築への木材利用促進の可能性について検討する研究会」の半年間の活動報告を兼ねて3つのセッションが行われ、多くの聴講者を集めた。セッションの最初のテーマは「地方創生を実現する木造・木質化の価値」。同研…
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商業施設で木造が付加価値を生んだケース
木材活用フォーラム2015のセミナープログラム最後の講演を行ったのは、三菱商事・ユービーエス・リアルティのリテール本部長である荒木慶太氏と、同社不動産運用部のシニアマネージャー金髙拓文氏の二人。REIT(不動産投資信託)の資産運用を行う立場から、木造を組み込んだ計画中の商業施設の事例を紹介した。
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実例に学ぶ木のメリットを生かす使い方と必要な技術開発
建築家・東海大学教授 杉本 洋文氏
木材活用フォーラム2015のセミナープログラム午後の部は、東海大学教授の杉本洋文氏による講演から始まった。計画・環境建築代表で建築家でもある同氏は、自ら手掛けた木造建築の事例などを見せつつ、木材の特性と活用の手法を手際よく紹介していった。当日の杉本氏の講演の概要をレポートする。
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木質化した駅舎がまちづくりの起点に
JR九州 日向市駅
2006年末に高架化されたJR九州の日向市駅は、いまや町の顔であり、地元の誇りであり、そしてまちづくりのシンボルである。高架上のプラットホームは、地元のスギ集成材が支える幅18mの大屋根に覆われている。スギ材を使った空間は、階下のコンコースから駅前広場にかけて続く。高架化に伴う駅舎の新築に地域材を活…
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企業の発展は地域の元気あればこそ
九州旅客鉄道鉄道事業本部施設部 部長 前川 聡幸氏
運行開始時、大きな話題を呼んだクルーズトレイン「ななつ星in九州」を始め、駅舎などの各施設でも、九州旅客鉄道(JR九州)は地域の木材を積極的に活用している。目指すのは、地域との共存共栄だ。地域とともにある企業像について、同社鉄道事業本部施設部の前川聡幸部長に語ってもらった。
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参道に溶け込む伝統の木組み
スターバックス コーヒー 太宰府天満宮表参道店
太宰府天満宮の参道沿いに建つスターバックス コーヒー 太宰府天満宮表参道店は、断面が60mm角、長さ1.3~4mのスティックのスギ材2000本を、伝統技法で織り上げるように組んだデザインだ。太宰府の参道に外資系のチェーン店が出店するのは初めてのこと。特徴的なデザインで、歴史的な街並みと調和させている…
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伝統の木組みで“パイナップル”な建築
SunnyHills at Minami-Aoyama
角材をバラバラと組み上げた不思議な建物を、道行く人たちが見上げていく。その正体は、台湾の菓子メーカー、SunnyHillsの日本初となる店舗だ。パイナップルの実からジャム状のあんをつくり、皮で包んだパイナップルケーキを販売している。そのパイナップルをモチーフにしたのが、この建物だ。ひと目を引く外観は…
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2020年までにどんな木造建築が建つようになるのか
―防火技術・制度から考える―
10月21日、東京目黒区の目黒雅叙園で「木材活用フォーラム2015」が開催された。会場では、セミナープログラムとして識者による講演も行われ、多くの聴講者を集めた。最初に壇上に立ったのは、早稲田大学創造理工学部建築学科教授の長谷見雄二氏。非住宅分野の建築物での木材活用をめぐり、防耐火技術と制度の現状と…
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高まる建て主の意識、国産材で社会貢献を
建築家 東京大学教授 隈 研吾氏
世界的に活躍する建築家の隈研吾氏は、早くから木材に着目し、その魅力を伝える作品を数多く生み出してきた。環境意識が高まるなか、最近では国産材の活用を要望する企業や建物オーナーが増えてきたという。木材を使う意味と、その魅力や可能性ついて語ってもらった。
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森林の若返りを図り、多面的機能の維持を
国産材利用の多彩な効用
日本の国土の約7割は、森林が占めている。主要諸国のなかでは、フィンランド、スウェーデンに次ぐ世界3位の森林資源国だ。しかし、その森林が今、危うい状況に差し掛かっている。森林の恩恵は、総合すると経済的な価値は約70兆円になるという試算がある。維持するには、「森林のサイクル」が健全に回っていなければなら…
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みなとモデル認証で初の最高ランク取得
高輪フォーラム・高輪ハウス
東京・港区にある三菱地所グループの研修施設、高輪フォーラムは、都心では珍しく、大型建物で木造を採り入れている。中庭を囲んでロの字型に回遊できる建物は主に木造で、一部が鉄筋コンクリート(RC)造で建てられている。隣接するRC造5階建ての独身寮、高輪ハウスとともに2013年春に完成した。建物は、三菱グル…