トリビア10:柱頭の装飾が元の位置に
では、最後は外に出よう。外壁の復元についてはいろいろな苦労話があって、書こうと思えばそれだけで10くらい書けてしまうのだが、ここでは象徴的なトリビアを1つだけ。
トリビア10。外壁の柱頭装飾が、3階の元の位置に戻った。
客室の窓の間に見える白い柱。柱の一番上の部分にある装飾(キャピタル)は、戦後の仮復旧時に2階に下げられていたものを、元の高さである3階に戻したものだ。
3階に戻したこと自体もいい話だと思うが、それを聞いて、「戦後の仮復旧時にいったん2階に下げていた」という事実に感激した。仮復旧に関わった人たちの「いつかは元に位置に」という願いがじわっと伝わってきて、目頭が熱くなる。やはり当時の人たちは復元してほしかったのだ。平成の復元は正しかったのだ──。そんなふうに思えた。
いかがでしたでしょうか、「東京駅10のトリビア」。
この記事は、日経アーキテクチュアが12月8日に発売した書籍「旅行が楽しくなる 日本遺産巡礼 東日本30選」「旅行が楽しくなる 日本遺産巡礼 西日本30選」のうち、「東日本30選」に掲載したイラストルポに文章を補足して再構成した。ちなみに、両書籍は東京駅ステーションギャラリーのショップでも販売されている。
書籍は旅行に携帯しやすいハンディサイズ(縦185mm×横148mm)で、価格はいずれも1400円+税。目次など詳細は下記をご覧いただきたい。
両書の電子書籍も同時発売した。
また、この機に合わせて、既刊の「巡礼シリーズ」も電子書籍化したので、興味を持った方はぜひお求めいただきたい。