トリビア6:黒焦げ木レンガは空襲の遺構

 前置きが長くなったが、トリビア6に進もう。鉄骨レンガ造のレンガ壁の話だ。

 トリビア6。レンガ壁のチェック柄は焦げた木レンガ。

東京ステーションギャラリーの階段室のレンガ壁(イラスト:宮沢洋)
東京ステーションギャラリーの階段室のレンガ壁(イラスト:宮沢洋)

 鉄骨レンガ造の東京駅だが、ドーム内ではレンガの壁はほとんど見えない。レンガを味わいたい人は東京ステーションギャラリーに入館してみよう。

 レンガの壁を見ていると、ところどころに黒いチェック柄のような部分があることに気付く。これは、創建時からはめこまれていた木レンガが、空襲で焼け焦げたものだ。

実際の階段室(写真:日経アーキテクチュア)
実際の階段室(写真:日経アーキテクチュア)

 なぜ木レンガが部分的に使われているかというと、レンガの上に仕上げ材を張るためだ。全面がレンガだと、クギや金具を打って仕上げ材を留めることができない。だから、黒焦げ木レンガも、頭の上の辺りと足元部分に多い。

 仮復旧の屋根や天井が撤去された今となっては、この黒焦げ木レンガは、空襲の記憶を未来に伝える貴重な遺構だ。この壁も重要文化財なので、むやみに触ったりしないように注意しよう。

「重要文化財」であることを伝える注意書きも(写真:日経アーキテクチュア)
「重要文化財」であることを伝える注意書きも(写真:日経アーキテクチュア)