隣棟間のプライバシーも確保
もし、日本で同じことをやろうとしたら、「火災時の避難は? 消防隊の進入は? 面積の算定方法は?」など課題は多いだろう。しかし、バルコニーの樹木によって、隣棟間のプライバシーは程よく確保され、地上高くにいることを忘れてしまいそうな青々とした眺めがある。
ありそうでなかった――。発明や創造は、その多くが公知の技術を組み合わせたものであるといわれる。ただし、特許を取得する場合を例にとると、発明とは公知の技術の単なる寄せ集めではなく、そこに進歩性が見られるかどうかが鍵となる。
ボスコ・ヴェルティカーレは、都市では得難い広大な緑化面積を確保し、日射遮蔽効果によるCO2削減などにも貢献している。公知の技術を組み合わせることによって副次的に発生する構造や風害への問題に対処したうえで、新たな価値を生み出している。これはもう、一種の発明と呼んでよいのかもしれない。
プロジェクト概要
発注者:Nihnes Italia SGR SpA per conto del Fondo Porta Nuova Isola
意匠設計:Boeri Studio(現Stefano Boeri Architetti and Barreca & La Varra)
構造・振動解析:Arup
建築設備、音響:Deerns Italia
ランドスケープ:Laura Gatti and Emanuela Borio
実施設計:Tekne
PM、コストコンサルタント:J&A Consultants
施工:1期 ZH General Construction Company、2期 Colombo Costruzioni
工事監理:1期 MiPrAv、2期 Studio Ceruti