鎌倉~室町:禅宗寺院が日本に伝来

 鎌倉時代になり、源平の合戦に勝利した源頼朝が、武家政権を鎌倉に創設しました。京から離れ、政治の中心を東に置く、武家社会にとって画期的な出来事でした。鎌倉整備に当たって、石清水八幡宮(京都)を勧請し(神仏の分霊を他の場所に移してまつること)、鶴岡八幡宮(神奈川)が現在地に置かれました。武家の守護神である八幡神を、領内に勧請したのです。

 またこの頃、禅宗が日本に伝来しました。座禅などの修行を特徴とし、栄西が伝えた臨済宗、道元が伝えた曹洞宗などがあります。その後、武家の保護などもあり禅宗は広まっていき、臨済宗では中国にならった寺院の格付けである五山が、京都と鎌倉で定められました。

 そういった宗派の伝来とともに日本に伝えられた禅宗様(ぜんしゅうよう)、もしくは唐様(からよう)と呼ばれる建築様式があります。鎌倉時代初期の遺構は残っていませんが、鎌倉五山の第二位にあたる円覚寺舎利殿(神奈川、東30選)では、禅宗様の典型を見ることができます。

円覚寺舎利殿(イラスト:宮沢洋)
円覚寺舎利殿(イラスト:宮沢洋)