アラップ・トータルデザインの舞台ウラ
目次
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欧州文化つなぐ豊潤な響き、ポーランドの最新音楽ホール
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(59)
「欧州文化首都」という事業をご存知だろうか?1985年に始まったこの事業は、EU(欧州連合)加盟国を巡回する形で行われ、文化事業はもちろんのこと都市開発の契機となっている。その欧州文化首都に2016年に選定された都市の1つが、ポーランドのヴロツワフ市である。同市の音楽シーンをけん引する施設として、1…
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NYの「幻の地下鉄」、90年の時を経て開通
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(58)
米ニューヨーク市の地下鉄路線の1つ、IND2番街線(計画時の呼称はセカンド・アベニュー線)は、マンハッタンの東側を縦断する、全線完成時には16の駅を擁する路線である。10年に及ぶ工事を終え、2017年1月に区間の一部が開通した。このセカンド・アベニュー線、決して建設されることのない「幻の地下鉄」と呼…
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世界遺産の豪オペラハウスが大改修、100年先の未来に引き継ぐ
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(57)
オーストラリアを象徴する建築物、シドニー・オペラハウスが2021年に生まれ変わる。軽快で独創的な鉄筋コンクリート(RC)のシェル群がシドニーの真っ青な空とコントラストを成す。この劇場には今でも毎年820万人を超える観光客が訪れ、世界で最も利用される劇場の1つとして数えられている。今回は、アラップの在…
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アジアのハブ競争が熱い、香港国際空港がコンコース増築
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(56)
アジアのハブ空港として、エアポートランキングで常に上位にランキングする香港国際空港。2016年2月にミッドフィールド・コンコースが増築、オープンした。今回は、増築部分の自動輸送システムと環境設計の2点について紹介したい。
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音響空間も体感、没入型VRが切り開く新しい設計プロセス
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(55)
VR(バーチャルリアリティ)を使って、空間を疑似体験する試みは、建築業界でも進んできている。一方で、音を視聴する技術も映画やゲームなどを通じて発展してきた。今回、VRをプラットフォーム的に用いて、空間と音を同時に体験し、専門技術を持たない人でも簡単に設定を変えられるように進化してきた事例を、アラップ…
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断層近くの病院守る!米国流・免震構造の設計手法
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(54)
近年、単に建設地が海外、というだけではなく、クライアントやプロジェクトチームに海外のメンバーが加わることも珍しくない。設計の思想の違いに驚かされることもあり、両者の溝を埋め、「良いとこ採り」をして成功裏にプロジェクトを進めたいと誰もが思うだろう。では具体的にどのような設計思想の違いがあるのか?今回は…
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サスティナブルな祈りの空間、ケニアの光射す大聖堂
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(53)
アフリカと言えば、灼熱の砂漠、サファリ、少数民族と土着の宗教、コーヒーやカカオ豆、豊富な鉱物資源というイメージだろうか?今回紹介する、ケリチョ大聖堂は、そんなイメージと異なるアフリカの多様性を垣間見せてくれる。
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南アの“投入堂”、国立公園と共存する20年限定の高級ロッジ
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(52)
ゴールデンウィークも終わり、さて次は夏休みの計画だ。電波も届かないような非日常的な環境でのんびり時間を過ごすことに憧れを抱く人も多いだろう。南アフリカにお勧めのプロジェクトがある。高級ロッジ「シンギタ・レボンボ・ロッジ」だ。そのロッジは、モザンビークとの国境に程近い、南アフリカの東端に位置するクルー…
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長さ280mの波打つ「リボン」、フォスターのシンガポール最新作
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(51)
チャンギ空港の第5ターミナルの計画、ジュロン地区の副都心化計画など、次々と大型のプロジェクト計画が発表されるシンガポール。その華やかさもさることながら、熱帯の気候を積極的に活用する工夫を凝らした計画も増えている。今回紹介するのは、2015年末に竣工し、話題のスポットとして2016年に注目を浴びたプロ…
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超高層の外皮に木製ブラインド?省エネ時代の薄型外装
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(50)
超高層ビルのガラスのカーテンウオールが一般的となり、様々な構法が生まれ、ガラス自体の性能も進化してきた。しかし、外壁・窓としての性能は決してないがしろにできないため、意匠面や運用面では制約があったのも事実だ。今回取り上げる新型カーテンウオールは、その制約を緩和し、超高層ビルの表現方法を次世代へと導く…
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NYで話題の音楽ホール、築80年超の工場をリノベーション
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(49)
米国・ニューヨークのブルックリンに、「ナショナル・ソーダスト」と呼ばれる、小さな音楽ホールが2015年末にオープンした。「音響的に完璧で、かつ、25歳から65歳までの人が同様に感激するような美しい建物が欲しい」というのが、発注者の要望だった。
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都市の脅威に備えよ、「レジリエント・シティー」への挑戦
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(48)
災害、犯罪、貧困など、過去もしくは遠い未来の非日常と思われていた危機が、頻発し、新しい「ノーマル」になるといわれている。各都市では危機に対する策を講じているが、そこでは市民からの意見や、文化的な遺産など、都市がすでに持っている「強み」を活かしていくことが重要そうだ。都市分野のコンサルタントが、都市の…
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「健康建築」に新指標、働き方革命で注目のWELL認証とは
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(47)
先進国の多くで少子化問題を抱え、高齢化する社会では労働人口の減少が社会問題になっている。また、成人病はもとより、心の病を抱える人も増えており、労働生産性が低下するなど、労働や経営を取り巻く環境は楽観視できない。建築を生業としている我々の業務とは一見、関係の薄いことのように思えるかもしれないが、この「…
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英テート・モダン増築、旧燃料タンクが展示空間に
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(46)
テート・モダン――。2000年に、倉庫街だった英国・ロンドンのサウス・バンク地区をアートの拠点へと変えた先駆けのプロジェクトだ。設計者であるヘルツォーク&ド・ムーロン(HdM)の名を世界に知らしめ、不動のものにした。そのテート・モダンが増築され、6月にオープンした。
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競技会場を五輪モードに、仮設デザインで華麗に変身
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(45)
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、特に新築の施設整備が話題になるが、「施設の完成=オリンピックの準備完了」、ではない。オリンピックという特殊なイベント用に、ゲートやテントなど、オーバーレイと呼ばれる仮設物の設営が必要となる。2012年のロンドンオリンピックの事例を、プロジェクト・…
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英国「BIMレベル3」が示す成長の条件
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(44)
“今どきBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を導入しないわけにはいかないだろう”と体面を保ちながらも、その実、精巧な3Dモデルとの違いが不明だったりしないだろうか? 海外の事例を参考に、BIMの疑問点を解く一助となる情報を、BIMコーディネーターから解説する。
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地中海のマルタ島、ピアノ氏が要塞都市を再生
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(43)
イタリアの南西、地中海の島国であるマルタ共和国。世界遺産の地として知られる首都・バレッタ市に、レンゾ・ピアノ氏が設計した建築が完成した。シティー・ゲートと呼ばれるそのプロジェクトは、バレッタ市の顔となるものだ。
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巨大化する緑化壁が都市を変える
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(42)
限られた敷地面積による制約、またはアメニティー要素として、近年、壁面緑化を検討することが多くなっているのではないだろうか。建築を緑化することのベネフィットは何か?費用対効果はいかほどか?今回は、ファサード・エンジニアが、昨今の壁面緑化事情について報告する。
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波打つ構造体が利用者を誘う、UNスタジオの新駅
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(41)
オランダのアムステルダムから内陸側へ約80km。UNStudioが設計し、19年もの歳月を経てようやく昨年末、アーネム中央駅がオープンした。海抜も低く、どこまでも平らな土地が広がるオランダの中で、アーネムは比較的起伏の多い地形が特徴である。波状にうねるアーネム駅の形状は、その周辺の特徴を建物形態に反…
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世界初の「地下公園」構想、昼光利用で廃墟を再生
アラップ・トータルデザインの舞台ウラ(40)
魅力的かつ安全な地下空間を創造することは、大都市が抱える課題の1つでもある。重要な要素の1つは「光」だ。廃墟となっていた既存地下空間を緑豊かな都市施設へと変える、太陽光反射システムを使ったニューヨークでの試みを紹介する。