仲原正治の「まちある記」
目次
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「中心市街地&被災地」で見えてくるもの(最終回)
「仲原正治のまちある記」を連載して4年9カ月が経過した。最初の原稿を準備している最中、突然、東日本大震災に遭遇し、急遽、震災関連の原稿に差し替えた。今回、連載を終えるに当たり、地方の活性化と被災地の現在の課題と展望について、総括的に述べてみたい。
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横浜市役所移転で「関内・関外地区」はどうなる?
370万人都市・横浜。その中心市街地である「関内・山下地区」は、バブル経済崩壊後に、空きオフィスが目立ち、かつての賑わいが失われてきている。関内駅前にある横浜市役所も2020年には新しい庁舎を建てて、桜木町駅の近くに移転する計画が進められている。
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半田、舞鶴、奈良、横浜、日南――赤煉瓦の運命と魅力
2014年に富岡製糸場が、2015年には「明治日本の産業革命遺産」がユネスコ世界遺産に登録された。富岡製糸場は木骨煉瓦造、産業革命遺産の三井炭鉱万田坑の建物も赤煉瓦で造られている。今回は、赤煉瓦建造物の運命と魅力を、半田市と舞鶴市、奈良市、横浜市、日南市を辿って考えた。
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「箱根」を観光して、自然災害を考える
唱歌でうたわれ人々に馴染みがある箱根。その箱根で火山活動が活発となり、一時は噴火警戒レベル3まで引き上げられ、今でも一部の地域の立ち入りが禁止されている。観光客も減少し、地域の経済は相当なダメージを受けているという。今回は、箱根の山を探索し、その観光の魅力と火山活動による被害の実状を伝えたい。
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「小田原評定」は、まちづくりには似合わない
小田原といえば、戦国時代に小田原城を築き、5代続いた小田原の雄、北條氏が有名だ。今でも北條氏を称え、毎年5月3日には北條五代祭りが開催されている。ただ、城主の北条氏直が豊臣秀吉の軍勢に包囲されたときに「小田原評定」で結論が出せずに滅ぼされた経緯がある。そうした歴史を振り返りながら、小田原の魅力と現在…
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郡山の中心「4核」で商店街のあり方を考える
福島県をよく知る人は、福島市よりも郡山市の方が産業、商業の中心地だと思っている。会津、中通り、浜通りと東西に分かれて街道が発達したため、気候の違いを含めてそれぞれが固有の文化を蓄積してきた。今回は郡山市を取材し、中心市街地のあり方を考える。
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「住みたい街NO.1吉祥寺」の実力
「住みたい街ランキング」の調査結果が毎年、不動産関連企業や様々なメディアで発表されている。なかでも吉祥寺は複数のランキングで連続1位を獲得するなど、「住みたい街NO.1」といっても過言ではない人気の街である。今回は、どこにその魅力があるのか吉祥寺を探索した。
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浦和と大宮の個性を「さいたま市」の魅力に
浦和市、大宮市、与野市が2001年に合併して「さいたま市」が誕生した。しかし合併後も、埼玉方面に出かけるときに、さいたま市とは言わずに、大宮や浦和、与野に行ってくると言ってしまう。都市名がなぜなじみ難いのかを含め、さいたま市の魅力を発掘してみたい。
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「文化資本」豊かな金沢を楽しむ
金沢といえば、加賀前田家百万石の城下町。昔ながらの町並みだけではなく、金沢21世紀美術館をはじめとする現代アートや伝統文化、食文化など、都市ブランド力は常に高い。北陸新幹線の開通で東京から約4時間かかっていた鉄道の旅が2時間半に短縮された金沢の魅力に触れてみた。
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三陸鉄道のおもてなしと大槌町への派遣職員
三陸地方の海岸部を走る鉄道は、震災から4年経っても南北が分断され、バス輸送やBRTでの運行に頼っている地域が多い。JR東日本管内では津波を受けた八戸線から常磐線までの区間約325kmで、23の駅が流出、軌道の流出・埋没は65カ所に上った。今回は三陸鉄道を中心に、今後の被災地の交通を考える。
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三陸地方で地盤のかさ上げ、震災遺構を考える
東日本大震災から約4年の歳月が経過した。津波被害が大きかった三陸地方では、急ピッチに地盤のかさ上げを行うと共に高台移転を推進している。漁港が生活の基盤である漁業者にとっては港の復興が重要事項で、港機能と居住機能をいかにうまくマッチさせるかが大きな課題となっている。
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「オンセナート+ミツハマル」で松山観光再生
松山の特徴を端的に表しているのが「いで湯と城と文学のまち」というキャッチフレーズだ。市内には3000年の歴史を誇る道後温泉がある。その地で観光客の減少を食い止めるイベント「道後オンセナート」が開催された。松山の外港として栄えた三津浜では古民家などを活用したまちづくりも行われている。さっそく探索に出か…
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団地を通して見た高齢化「清く楽しく美しく」
第51回 横浜市旭区若葉台団地
現在、団地では少子高齢化の波が大きく押し寄せ、様々な課題が浮かび上がっている。今回は、横浜市旭区の若葉台団地を中心に高齢化を取り上げる。
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「羽田空港」が象徴する日本の発展
第50回 東京都大田区羽田地区
2020年の東京オリンピック・パラリンピックが決まり、準備が着々と進められている。次々に発表されている東京の改造計画の中で、世界のハブ港を目指す「羽田空港」にスポットを当てる。
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「吉里吉里国」で働く自治体派遣職員
第49回 岩手県大槌町
被災地には、日本全国の自治体から派遣された職員が数多く働いていて、毎日、活動を続けている。岩手県大槌町の「吉里吉里国」の郷に横浜市から派遣されている友人を訪ねた。
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札幌の芸術祭で「アートの輪」を考える
第48回 札幌市
札幌市が7月19日(土)から9月28日(日)までの期間「札幌国際芸術祭」を開催し、8月1日に始まった「ヨコハマトリエンナーレ2014」と連動して事業を進めると聞いて、さっそく札幌を訪ねた。
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あべのハルカス展望台で考えた下町の街づくり
第47回 大阪市阿倍野・天王寺地区
日本一高い「あべのハルカス」が2014年3月7日に誕生した。天王寺駅近辺は、門前町として古い歴史のある天王寺区、ハルカスのできた阿倍野区、日本3大ドヤ街のひとつ「あいりん地区」のある西成区に近接していて、どの町の断片を見てもその歴史や人々の生活を垣間見ることができる。今回、高さ300mの「あべのハル…
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軍都の色が残る横須賀
第46回 神奈川県横須賀市
横須賀というと、戦前は日本の、現在は米国の海軍基地をまず思い浮かべてしまう。1975年ごろ初めて横須賀を訪ねたとき、ベトナム戦争が終わった直後で、街全体が騒々しく、街を歩いていて怖いという印象だった。特にどぶ板通りは日本人が訪ねる場所ではない気がして、遠くから米兵たちを見たという記憶しかない。その後…
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「アーツ前橋」はシャッター街の起爆剤になるか
第45回 群馬県前橋市
赤煉瓦ネットワークの赤れんが倉庫視察会の参加などで、何回か前橋近辺には来たが、中心市街地には2005年の「アートNPOフォーラム」以来、9年ぶりの訪問だ。東京一極集中による若者離れや郊外大型店の発達で、「シャッター商店街」が多くなった前橋の中心市街地に「アーツ前橋」ができ、まちに新たな息吹を吹き込み…
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震災4年目に入った福島県浜通り
仲原正治の「まちある記」(44)
筆者が連載を始めたのは2011年4月。それから3年間で100日を超える時間を福島県いわき市で生活した。2014年3月11日には畑仕事の合間に原発の近くまで行き、被災地の姿を確認してきた。