戦後間もなく都市計画決定された環状2号線計画のうち、未完だった通称「マッカーサー道路」が実現することで、湾岸地域の自動車の便が大きく向上する──。前回の記事でそこまで書いた。

 しかし、湾岸に暮らす人がすべて通勤や買い物に自家用車を使うわけではない。マンションを開発する事業者にとっても、単に環状2号線が開通するというだけでは、住宅地としてなじみの薄い埋め立て地を買う気にはならない。

 日経BPムック「東京大改造マップ2020」(以下、ムックと略す)の頻出キーワードを解説するこのコラム。今回は第2位の「BRT・LRT」と第3位「地下鉄8号線(有楽町線延伸)」を併せて解説する。どちらも湾岸地域の住宅地化を後押しするインフラとして大きな期待が寄せられているからだ。

ムックの「変わるマンション選び」に掲載した湾岸マップの一部。この記事は、湾岸に計画中のマンションとBRT、地下鉄8号線など新交通網の関係について消費者目線で説明している(イラスト:荒木優花)
ムックの「変わるマンション選び」に掲載した湾岸マップの一部。この記事は、湾岸に計画中のマンションとBRT、地下鉄8号線など新交通網の関係について消費者目線で説明している(イラスト:荒木優花)

 まず「BRT」とは何か。BRTは「Bus Rapid Transit」の略で、日本語では一般に「バス高速輸送システム」と訳されている。

バスでも高速・定時走行が可能

 この言葉を日本で耳にするようになったのは、ここ4~5年のこと。先駆例の1つが茨城空港のBRTだ。2010年8月の開通時、ケンプラッツではこうリポートしている。

 「廃線となった旧鹿島鉄道の線路跡を市道として整備したバス専用道が、2010年8月30日に開通した。茨城県石岡市と小美玉市が道路を整備して、関鉄グリーンバス(石岡市)が専用道を使うバス高速輸送システム(BRT)を運行する。公設民営方式のBRTは全国初だ。

廃線跡を整備した専用道を走るBRT(写真:茨城県)
廃線跡を整備した専用道を走るBRT(写真:茨城県)

西の起点は松坂屋銀座店跡地の大規模施設
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