東日本大震災がもたらしたのは、津波や原子力発電所の事故で拡散した放射性物質による被害だけではありません。東京湾岸部などの広域で液状化現象による地盤被害が発生しました。

 特に被害が顕著で、新聞やテレビが繰り返し報道したのが、千葉県浦安市の被害です。総面積の約4分の3が埋め立て地という同市では、住宅地や歩道などを中心に大規模な液状化現象が発生。不同沈下が発生して多数の住宅が傾いただけでなく、水道や下水といった地中埋設物も多大な被害を受けました。その結果、市民生活は大きな混乱をきたしました。

●浦安市の液状化被害
浦安市が3月16日に公開した被害状況地図。建物の傾きだけでなく道路や水道といった都市インフラにも多大な被害が生じました(資料:浦安市)
浦安市が3月16日に公開した被害状況地図。建物の傾きだけでなく道路や水道といった都市インフラにも多大な被害が生じました(資料:浦安市)

 今回の震災では、首都圏を含めて広域で被害が出たために、液状化現象に注目が集まりましたが、液状化現象自体は過去の震災でも繰り返し起こっています。1964年に発生した新潟地震では建物の倒壊や沈下といった現象が生じました。95年の阪神・淡路大震災や2000年の鳥取県西部地震、04年の新潟県中越地震などでも、液状化現象による被害が発生しています。