数秒から20秒程度の周期の長い揺れの成分が多い地震動を、「長周期地震動」と呼びます。長周期地震動に注目が集まるきっかけとなったのは、2003年9月に発生した十勝沖地震でした。

 この地震では、震央から約250kmも離れた北海道苫小牧市内に建つ石油タンク内の液体が、長周期地震動によって共振を起こして揺さぶられ、浮き屋根がタンク設備に衝突。その際に発生した火花が火災を招きました。

 さらに、浮き屋根が破損して、タンク内に沈んでしまう被害も生じています。震央から遠く離れた場所に伝わって大きな被害をもたらし得るのが、長周期地震動の恐ろしさです。

 長い周期の地震動は、減衰しにくく、地下構造の影響によって、その揺れが増幅する場合があります。堆積層で構成された平野部や盆地などで影響が大きくなり、しかも長く揺れることになります。

地盤が揺れやすい周期を示した地図。関東平野や大阪平野などが長い周期で揺れやすいことが分かります(資料:中央防災会議)
地盤が揺れやすい周期を示した地図。関東平野や大阪平野などが長い周期で揺れやすいことが分かります(資料:中央防災会議)