なるほど!建築技術の新常識
目次
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内装を凶器にしない秘密兵器、部分免制震
東日本大震災を機に、免震や制振による建物の防災対策に注目が集まっています。建物自体の揺れを軽減する技術によって、家具の倒壊をはじめとした被害を抑えられたからです。
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家が壊れても命は守る、耐震シェルター
国土交通省は2011年1月、08年の住宅・土地統計調査の結果などに基づいて推定した住宅の耐震化率を公表しました。耐震化率は08年時点で79%でした。地震への備えは、着実に進んでいるものの、依然として十分な耐震性能を持たない住宅は数多く残っています。
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薄さに秘めた付加機能、フィルム素材
夏季の電力供給の逼迫を受け、節電を図るツールの一つとして利用されていたのが、窓に貼るフィルムです。地震で相次いだガラス落下の防止策としても、有効な方法の一つとなっています。注目が集まるフィルムを利用した建材として、新たな機能を備えた製品が出てきました。
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街の復興と農業再生を狙え、植物工場
東日本大震災の被災地における復興計画などで、植物工場に着目する事例が表れてきました。植物工場とは、高度な環境制御を行うことによって野菜などの周年・計画生産を可能にした栽培施設です。閉鎖環境で太陽光を用いずに栽培する完全人工光型と太陽光を活用する太陽光利用型に区分されています。
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普及に向け大胆な簡素化で勝負、CASBEE
建物の紹介で、「CASBEE(キャスビー)でSランクの建物です」といった記載を目にする機会が増えてきました。CASBEEとは、省エネ性能をはじめとする環境性能で建物を評価・格付けする方法で、「建築環境総合性能評価システム」のことです。建築環境・省エネルギー機構内に設置した委員会が開発しました。
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木造普及のカギ握る構造材、耐火集成材
鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物がひしめく都市に、木質の外観などを備えた木造ビルを建てられれば、街並みなどに幅が広がり、豊かな都市空間を創出できる可能性が高まります。しかも、木材の活用によって二酸化炭素の固定化につながり、地球環境問題での課題解決にも寄与します。
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故障や効率低下のリスクにご用心、太陽光発電
福島第1原子力発電所の事故を受け、再生可能エネルギーに対する関心が急速に高まっています。太陽光発電は、そのなかでも最も関心が持たれている技術でしょう。
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省エネ空調と代替物質がリスク高める、シックハウス
気温や室温が高くなる季節に起こりがちな建物のトラブルの一つが、シックハウスやシックスクールです。建物の内装材に使用された塗料や接着剤などに含まれる化学物質が空気中に放散され、それを吸引した人の健康を害してしまう現象です。
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我慢の温熱環境が招く効率低下、知的生産性
「オフィスや学校といった施設が、その利用者の知的な活動をどの程度促しているのか」「知的生産性という思想を建築設計などに盛り込むにはどうすればよいのか」――。こうした疑問に対応した研究が進んでいます。
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昼間の打ち水や夏時間は効果なし、節電検証
東京電力福島第1原子力発電所の事故などがもたらした電力不足の問題は、関東地方を中心に様々な節電・省エネ対策を迫りました。原発事故後に実施された計画停電は、列車の運転本数削減や設備の運転停止など、経済活動や社会活動に大きな影響を及ぼしました。
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価格低下と技術革新で省エネ後押し、LED照明
ろうそくと白熱電球、蛍光灯(放電灯)に次ぐ「第4の人工照明」。LED(発光ダイオード)照明のもう一つの呼称です。エコポイント制度や東日本大震災以降の節電ニーズなど、最近の社会情勢も受け、急速にその市場を拡大しています。
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熱線を跳ね返し節電に一役、高反射率塗料
電力供給不足に伴う節電が求められるなか、夏の冷房負荷を軽減する手立ての一策として、高反射率塗料に対する関心が高まっています。
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超高層も恋しがる「お天道様」、採光装置
建物で消費されるエネルギーのうち、照明が占める割合は小さくありません。東日本大震災後の電力供給危機を受けて、日本サステナブル建築協会が5月20日に示した夏季の節電に向けた提言でも、業務用建物においては、照明での節電が効果的だと訴えています。
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死角は火元確率の高い台所、住宅用火災警報器
6月から全国で住宅用火災警報器(以下、住警器)の設置が義務付けられました。2004年の消防法改正で定められ、自治体ごとに段階的に実施してきた規制です。
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宅地で解なき難題、液状化現象
東日本大震災がもたらしたのは、津波や原子力発電所の事故で拡散した放射性物質による被害だけではありません。東京湾岸部などの広域で液状化現象による地盤被害が発生しました。
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土を入れ替え放射線断つ、上下土置換法
東日本大震災が引き起こした東京電力福島第1原子力発電所の事故は、福島県における復旧や復興の大きな足かせになっています。東京電力は事態収束に向けて、工程表を示したものの、今後の作業などにおける不確実性は大きく、その実現度合いは読みきれません。
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節電と集客効果で需要増なるか、建物緑化
屋上緑化や壁面緑化など建物まわりの緑化は珍しくなくなりました。ただ、こうした緑化の普及に、ブレーキがかかりつつあるというデータが示されました。
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遠くの地震も侮れない、長周期地震動
数秒から20秒程度の周期の長い揺れの成分が多い地震動を、「長周期地震動」と呼びます。長周期地震動に注目が集まるきっかけとなったのは、2003年9月に発生した十勝沖地震でした。
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建物に効くダイエット型耐震改修、上層階減築
ビルの上層階を撤去する「減築」を採用した改修事例が散見されています。戸建て住宅で採用されることがあった減築は、学校や商業施設に広がりつつあります。
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エコから殺菌までこなす国産技術、光触媒
日本で生まれた技術である光触媒。この技術を建物に採用する機会が増えています。その名の通り、光を受けると触媒として作用する技術で、一般には酸化チタンを用います。