根津美術館

設計:隈研吾建築都市設計事務所

 東京・南青山の2万1600m2の敷地に10月7日、新装オープンした根津美術館。建築は、広大な日本庭園と調和する和の趣を基調とする。

 設計者の隈研吾氏は「素材は清潔感のあるものを選んだ」と語る。例えば竹。ホールの天井の突き板に竹を練り付けた。

 ホールの床や壁には、中国山東省産の砂岩を使用した。ストライプ模様が特徴で、模様を3分類して場所によって使い分けている。展示室の床には、厚さ4mmのコルクタイルを敷いた。歩行感を軟らかくする目的で、厚さ2mmのコルクシートを捨て張りしている。

 展示ケースの製作はコクヨファニチャーが、展示照明はキルトプランニングオフィスが手掛けた。壁面展示ケースの上部照明は、LEDによる全般照明とハロゲン光源の光ファイバーによるスポット照明で構成する。下部照明は、のぞき込んでも光源が見えないように手すりの下にLEDのライン照明を仕込んでいる。

1階のホール(写真:細谷 陽二郎)
1階のホール(写真:細谷 陽二郎)

1階の展示室(写真:細谷 陽二郎)
1階の展示室(写真:細谷 陽二郎)

壁面展示ケース:ケース外側の上下パネルは、厚さ5mmのアルミ板に、映り込みを抑えるように細やかな凹凸のある濃いベージュ色のアクリル焼き付け塗装仕上げを施した。手すりは、アルミ押し出し材下地に上品な表情を持つセンを練り付けた

独立展示ケース:下部パネルは、壁面ケースと同じ濃いベージュ色のアクリル焼き付け塗装仕上げ。上部はチャコールグレー色の照明ボックスにガラスを被せる納まりとした。上部照明ボックスへの配線をあたかも存在しないかのように隠している