日経アーキテクチュアでは毎年1月から2月にかけて、その年に完成予定の主要建築プロジェクトを総まとめにした記事「プロジェクトナビ」をお届けしています。今年は2月9日号に国内、国外の92件を合わせて掲載しました。

 今年の一つのトレンドとして挙げられるのは、都心の再開発プロジェクトで見られる、既存の歴史的な建築物の保存・再生と、現代的な超高層建築物の新築との組み合わせです。東京では「丸の内パークビルディング・三菱一号館」が4月に誕生します。大阪では「南海ターミナルビル再生計画・高島屋大阪店新本館計画」が今秋に完成を迎える予定です。

 大型プロジェクトだけでなく、小規模なもののなかにも意欲的な試みをしているものが多く見られます。チャレンジする分野で目についたのは、やはり環境でしょうか。今回取り上げているプロジェクトの多くは、不況が深刻化する前に着工したものだと思います。建築専門家がチャレンジする機会が、その後どのように変化しているのか、非常に気になります。来年の「プロジェクトナビ」も今年のようなにぎわいを見せてくれることを願うばかりです。

 2月9日号ではこのほか、新たな連載記事「著名建築家のディテール・寸法をひも解く」を始めました。一流の建築物を実測することによって自らのスキルを磨き続けている元・菊竹清訓建築設計事務所の遠藤勝勧氏が、毎回、建築家と対談する企画です。初回に登場するのは伊東豊雄氏です。CAD図面が主流となった現在に、あえて手で描く意義、そのほかについて熱く語ってくれました。