「営業に役立つ情報がほしい」――最近、多くの読者から寄せられる切実な声です。新築やリフォームの需要が冷え込むなかで、いかに顧客に振り向いてもらい、次の仕事につなげるかは、家づくりの実務者にとって会社の経営を左右する大きな課題となっています。

 日経ホームビルダーは経営誌ではなく、現場の技術を中心に据えた実務情報誌。生き残りをかけて歯を食いしばっている読者のみなさんに、どんな形で役立てるだろうか……。編集部で議論を重ねた結論は、「やはり足で稼いだリアルな取り組み例をどんどん紹介することだろう」。今月号の特別リポート「受注につながるイベント術」では、そんな思いを形にしました。

 景気悪化が表面化した昨年の秋以降も、経費をそれほどかけないイベントを工夫し、着実に受注に結び付けている工務店やリフォーム会社、設計事務所があります。各地で成果を上げている会社を訪ねて話を聞いていくと、「構造の見せ方」「OB顧客の活用」という共通のキーワードが浮かび上がってきました。記事では8つの取り組み事例を紹介。「見学会に約3万円、懇親会に10万円」など、かかった費用を具体的に示しながら、「見学会には平均9組が参加し、3組が契約」といった「成果」も明かしてもらいました。

 もちろん、現場ですぐに生かせる記事も抜かりはありません。特集「うっかり現場」は、本誌読者の体験談を中心に現場のミス実例を検証した記事。顧客からのクレームや無償の再施工などの手痛い損害を防ぐノウハウを実例で示しました。こういった「現場を磨く取り組み」も、口コミの評判を高めるための「営業に役立つ情報」といえるかもしれません。さらに2月号では、昨年末に打ち出された大型の住宅ローン減税の影響を住宅取得予定者200人に緊急アンケート。調査結果を受けた解説記事「住宅減税の生かし方」を掲載しました。

 厳しいこの時期に顔を上げて進むために不可欠な“栄養”の一つは「成功体験の共有」だと思います。不況下でも依頼の途絶えない「地域で大切にされている住宅会社」は全国にある。その取り組みを、できるだけ数多く、生き生きと伝えて、腹の底から元気が湧き上がってくるような誌面をつくりたい。まずは日経ホームビルダー2月号を読んで、2009年の第一歩を踏み出していただければ幸いです。