住宅向けの新製品が次々に登場します。例えば家の構造を支える接合補強金物。工夫を凝らした様々な「オリジナル金物」があります。カタログ上は同じ性能ですが、形状や価格は微妙に異なる。技術の進歩は歓迎すべきことですが、実務者にとっては、何を指標にどう選べばいいのか、わかりにくいことも多いものです。

 日経BP社が運営する「建材・設備ガイド」には、こうした実務者の悩みや疑問が数多く寄せられています。そこで、「わからないことは、実物の製品を使って現場で検証してみよう」と、建材・設備ガイドを担当する小原デスクを中心に立ち上げた新企画が「とことん実証!建材・設備」です。第一弾として日経ホームビルダー12月号では、接合補強金物の現場実験を行いました。

 各メーカーのカタログには規定の性能値が表示されていますが、取り付けにかかる施工時間や誤って施工した場合の耐力などは記載されていません。ビス接合金物の取り付けに失敗した場合の対処法などは現場の実務者にとっては重要なことですが、わからない。これらを確かめるには、現場で実際にやってみることが早道です。取材班は疑問を解決すべく、各メーカーの製品を横並びにしてカタログから読み取れない「実力」を試しました。

 12種類の金物を比較しながら取り付けていくと、思わぬ収穫もありました。例えば現場の施工性を落とすタイムロスの原因です。「構造用合板とモジュールの関係から金物の取り付け時にノミで合板を欠き込んで納める状況が発生する」「コーナー金物に仮留めの爪がないために柱頭部の金物の固定が難しく落としてしまう」「不良品のビスの混入が予想以上のタイムロスを生む」――これらは現場で「やってみた」ことによって確認できた事実です。ビス留めはリズミカルな作業ゆえに、リズムを崩す要因は予想以上に作業を遅らせることも実感できました。

 実験の様子はビデオでも詳細に記録しました。文章や写真だけでは伝えきれない内容を中心に、ウエブサイト「建材・設備ガイド」で動画を中心にわかりやすく見せていきます。さらに誤った施工方法でどのくらい性能が低下するかについても、追実験を行っており、これらの実験結果は次号で詳細に報告します。

 12月号からはもう一つ、「読者に代わって調べます」という新連載もスタートさせました。実務者からの疑問や意見を基に、気がかりなテーマを一歩踏み込んで深掘りする新コラムです。どちらも「読者目線」「現場主義」を重視した新企画です。2009年は今年以上に厳しい年になりそうですが、これまで以上に“使える”誌面づくりを徹底していきたいと考えております。まずは日経ホームビルダー2008年12月号をどうぞお役立てください。