91戦28勝、勝率31%――。2007年度のハザマの戦績には目を見張ります。主要公共発注機関が2007年度に実施した予定価格3億円以上の土木工事の入札1208件を、日経コンストラクションが分析した結果です。国土交通省、農林水産省、高速道路会社、鉄道建設・運輸施設整備支援機構などの入札結果を調査し、発注者別・工種別・地域別の受注総額や受注率(入札参加件数に対する落札件数の比率)、落札率(予定価格に対する落札価格の比率)などを明らかにして、日経コンストラクション5月23日号の特集「建設会社のリアルな『受注力』」に掲載しました。

 調査対象案件の受注総額が50億円以上の会社で、受注率が3割を超えたのはハザマを含む4社だけ。2割5分以上の会社も9社にすぎません。しかも、橋や舗装などの専門分野を中心に好成績を残した会社がほとんどで、総合建設会社と呼べるのはハザマだけです。

 調査対象案件の受注総額ランキングでは、1位の鹿島に続いてハザマが2位に食い込みました。国交省(港湾と空港、北海道開発局の農業事務所を除く)案件の落札総額では、2位以下を大きく引き離して堂々のトップ。一時は経営難にあえいでいた会社とは思えない好調ぶりです。2008年3月期の単体決算でも、土木の受注高が1.5倍増。ハザマの驚きの強さは建設業界内で話題になっています。

 ハザマはなぜ強いのかは特集記事を読んで考えていただくとして、一連の分析を通して驚かされたのは、思っていた以上に建設各社の強みや弱みがデータで表れたことです。

 例えば、鹿島は予定価格50億円以上の大型工事にめっぽう強く、受注率は39%とハイアベレージです。逆に50億円未満の工事の受注率は18%にとどまりました。

 三井住友建設は、PC橋では33戦12勝で受注率が3割を超えたものの、山岳トンネルでは46戦1勝と振るいませんでした。

 調査・分析の対象にした工事が予定価格3億円以上と比較的大きかったこともあって、最低価格を提示した入札参加者以外が技術提案で落札する“逆転落札”の割合は約4割に達しています。土木工事で技術競争が本格化したことを実感させるデータです。

 ただし、技術提案はタダではありません。連戦連敗では経費の負担が重くのしかかります。技術者のモチベーションも低下しかねません。本格的な技術競争時代の生き残りをかけて、建設各社の「選択と集中」はこれから一段と進んでいくことになるでしょう。

NCR

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