激変しつつ多様化する入札・契約制度に振り回されていませんか。対応する過程で「これはおかしいぞ」「なんとかならないのか」と感じたことはありませんか。日経コンストラクション3月28日号ではそんな状況をにらんで、二大特集を組みました。入札・契約制度のうち、特に総合評価と設計変更を取り上げて、現在の問題点や改善策を探っています。

 一つ目の特集は「入札改革の“闇”」です。総合評価落札方式の一般競争入札が拡大するなかで、目に付き始めた弊害を指摘しています。

 一例が、過剰な品質に高い得点を与え、そのためのコストのかけ方によって落札者が決まるような総合評価です。必要以上の品質に無用のコストをかける結果になるだけでなく、こんな総合評価によって逆転落札が起きているとしたら入札参加者も納税者も納得しないでしょう。競争条件の設定の仕方が問われています。

 富山県は世界貿易機関(WTO)の政府調達協定の対象工事で、地元の1、2社だけが有利になるような評価項目を設けていました。総合評価は恣意的に運用される恐れがあるとの指摘は少なくありません。

 国土交通省九州地方整備局では、技術力を加味する総合評価なのに予定価格内に1者しか残らない入札が急増しています。2007年度は12月末までの段階で、予定価格内に1者しか残らない入札が4割近くに達し、手間やコストをかけた総合評価が無意味なものになっています。

 特集「入札改革の“闇”」では、以上のような問題を具体的な事例に基づいて検証しながら、一般競争入札下で品質を確保するには総合評価が不可欠だとする論調が妥当かどうかを問うています。

 もう一つの特集は「納得できる設計変更」です。互いにもたれあっていた受発注者関係がドライなものに変わるなかで、設計変更をめぐる状況は様変わりしています。貸し借りの通用しないドライな関係下で、受発注者の双方が納得できる設計変更のあり方を探っています。

 特集「納得できる設計変更」では、受発注者が増額変更に合意した四つの具体例を紹介しました。生コンクリートの価格高騰に対応し、単品スライド条項を適用した長野県の工事などを取り上げています。

 加えて、変更協議を円滑に進めるための発注者側の工夫例や、受注者側の設計変更の交渉術などをまとめました。国交省関東地方整備局は、受発注者が一堂に会して即決する「設計変更審査会」の本格運用を始めています。このような興味深い試みを示しながら、今後の設計変更のあり方を考察しています。