資格者が足りないーー。土木をなりわいとする建設会社や建設コンサルタント会社のあいだでよく聞く話です。日経コンストラクション1月25日号の特集はそうした生の声をそのままタイトルに掲げ、資格者不足の実態と対応策を探りました。

 資格者不足には二つの事象があります。一つは、総合評価落札方式やプロポーザル方式の拡大によって公共事業の入札の資格要件が厳格化し、要件を満たす配置技術者(資格者)が不足していることです。日経コンストラクションが実施したアンケート調査によると、入札要件を満たす資格者が足りないと思う場面が1、2年前に比べて「増えた」との回答が、建設会社では75%、建設コンサルタント会社では90%に達しました。

 資格要件を満たす技術者がいないために、工事希望型競争入札への参加を辞退するケースは多発しています。落札後に辞退して、指名停止になる建設会社も増えています。

 資格者不足のもう一つの事象は、技術士や一級土木施工管理技士といった資格の保有者が不足していることです。建設コンサルタント会社の多くで、技術士不足は深刻な問題となっています。プロポーザル方式の拡大によって技術士の保有者が求められる場面が増えているからです。

 沖縄県では2007年6月に、技術士不足を象徴する“事件”が起きました。技術士の名義借りが発覚し、コンサルタント登録をしていた会社の3割に当たる40社が一度に登録を取り消されたのです。日経コンストラクションは、登録を取り消された会社のリストを入手し、名義借りの実態とその後の対応をつぶさに追いました。技術士の名義借りは沖縄だけの問題ではありません。詳しくは特集記事をお読み下さい。

 建設コンサルタント会社に比べると、建設会社では資格保有者の不足があまり深刻ではないようです。ただ、一部の資格には不足感があります。日経コンストラクションの調査によると、大規模な建設会社ではコンクリート診断士の不足感が最も高く、中小規模の建設会社では一級土木施工管理技士に続いて一級舗装施工管理技術者が足りないとする回答が多数を占めました。

 1月25日号の特集では資格者不足への各社の取り組み事例も紹介していますが、次号の2月8日号の特集では、技術士とコンクリート診断士を中心に資格の取り方を解説します。併せてお読み下さい。