公共工事における総合評価落札方式の拡大によって,施工計画の重要性がこれまで以上に高まってきました。総合評価の多くは,技術評価点のなかで施工計画の配点を最も高く設定しています。施工計画の優劣が受注を左右するのはもちろん,受注後の工事の品質や成績評定に影響を及ぼし,その後の受注競争への影響も避けられなくなってきました。

 これまで重要でありながらも存在としては地味だった施工計画が,にわかに脚光を浴びつつあるのです。日経コンストラクション12月14日号では,重要さを増す施工計画に焦点を当てた特集「差がつく施工計画」を企画しました。

 受注を左右するほど重要な存在になってきたのだから,施工計画の品質は上がって当然のように思われます。ところが,施工計画をめぐるお寒い状況も見えてきました。

 (社)鹿児島県建設業協会の川畑俊彦会長は,総合評価の入札に参加する会社が作成すべき施工計画書を代筆する会社がある問題を指摘しています。発注者からは,「共通仕様書などから丸写ししてきたような施工計画書が提出されることも少なくない」との指摘もあります。高知工科大学の草柳俊二教授は,「技術力の空洞化で,元請け会社の社員が施工計画を立てられなくなっている」と懸念しています。施工計画の検討が不十分だったことが,施工不良を招いてしまった例もありました。

 特集記事では,コストダウン,工期短縮,品質確保,リスク回避といったテーマごとに,より良い施工計画を立案するための工夫例を紹介しています。ぜひご一読下さい。

 日経コンストラクション12月14日号ではこのほか,土木実務者に対して新しい土木用語の認知度を調べた結果を掲載しています。気になったのは,発注者の認識不足が目についたことです。発注者に知っておいてもらいたいような新語や略語でも,発注者の認知度が全体平均より低い場合が散見されました。全体平均は,発注者のほか建設コンサルタント会社や建設会社などを合わせた結果です。

 一例を挙げると,コンストラクションマネジメントという言葉の意味を知っていると答えた土木実務者の割合(認知度)は,全体平均が61%なのに対して,発注者は44%にとどまり,建設コンサルタント会社の74%,建設会社の61%よりずっと低い結果となりました。

 立場が異なれば土木用語への認知度も違うので,同じ土木実務者同士でも会話がうまくかみ合わない場面が出てきても不思議ではありません。誌面では新しい土木用語40語の認知度を紹介しています。まず,ご自分でその用語の意味を知っているかどうかをテストしたうえで,全体平均の認知度を確かめてみてください。なお,認知度を調べた土木用語は,技術士の試験を受けようとする人であれば知っておきたい言葉ばかりです。