最近の公共工事では低入札が頻発する一方で,不調や不落の入札が相次いでいます。本格的な自由競争の幕がいきなり切って落とされた衝撃で,いささか熱くなって手当たりしだいに受注競争に参加していた時代は過去のものになりつつあります。建設会社や建設コンサルタント会社の多くは,自社が有利に立てる分野を冷静に見極め,利益が出せる仕事を選別して一般競争入札に臨むようになってきました。選別受注を進めなければ生き残れない時代に変わったのです。

 日経コンストラクション11月23日号の特集は「もうかる仕事の見分け方」と題して,利益を出せる選別受注法と受注後の増益策のポイントをまとめました。工種が少ない,施工現場が点在していないといった基本的に押さえておくべきポイントから,受注後に工事が滞るリスクの読み方,自社の強みを最大限に生かすための工夫まで,様々な選別受注法と増益策を収録しています。

 自社が受注した工事を分析し,最も利益率が高くなる価格帯をはじき出した建設会社もあります。高利益率のポイントは,優秀な作業員だけを集めて施工できる規模でした。別の建設会社の営業マンは「金額が同じなら,設計図書が薄い工事を選ぶ」と明かしています。詳しくは特集記事をお読み下さい。

 選別受注といえば受注者側だけの問題だと考えがちですが,実は発注者側に跳ね返ってくる問題でもあります。現場の実態に合わない積算をしたり,関係機関との調整を終えずに発注したりする発注者は,明らかに敬遠される傾向にあります。技術上の議論ができず正当な設計変更がままならない発注者は,大きなリスクがあると見なされ,相手にされなくなります。発注機関そのものが,受注者からの選別の対象になっているのです。

 日経コンストラクション11月23日号ではこのほか,「『総合評価』で勝つ資格」と題する動向記事を掲載しています。総合評価落札方式の入札で加点される資格を国や都道府県などへの調査で明らかにし,発注機関別に一覧表の形で収録しました。併せて,注目される資格ごとにその動向をまとめています。技術士(建設部門)や一級土木施工管理技士,一級舗装施工管理技術者などを加点対象にする発注機関が多いなかにあって,地すべり防止工事士やのり面施工管理技術者,推進工事技士などに加点している発注機関もありました。記事をお読みになれば,どの発注機関がどんな資格で差を付けようとしているのかを把握できます。資格の取得へ向けた建設会社や建設コンサルタント会社の取り組み事例も掲載しています。